修道服に身を包み、神に祈るアシジの聖フランチェスコを肉厚の浮き彫りで表現したメダイ。聖人の両手には聖痕の生々しい傷が見えます。
聖フランチェスコの周囲にはフランス語で次の言葉が書かれています。
St. François d'Assise. priez pour nous. アシジの聖フランチェスコよ、我らのために祈りたまえ。
聖人の腰のあたり、メダイの縁に、高さ 0.2ミリメートルほどの小さな文字で、次の刻印があります。
PENIN PONCET
リュドヴィク・ペナン (Ludovic Penin, 1830 - 1868) とジャン・バティスト・ポンセ (Jean-Baptiste
Poncet, 1827 - 1901) はいずれもリヨンのメダイユ彫刻家で、多くの共作を発表しています。本品の製作時期は20世紀初頭であることから、彫刻家の没後に鋳造された作品であることが分かります。
裏面には一輪の白百合が浮き彫りにされています。白百合は純潔を表します。聖母マリアの象徴でもあります。
本品は20世紀初頭にフランスで制作されたものですが、磨耗はほとんど無く、聖人の敬虔な表情などの細部までよく残っており、すばらしい保存状態のアンティーク工芸品といえます。