17世紀イタリアの画家、カルロ・ドルチ (Carlo Dolci, 1616 - 1686) の作品を立体的な浮き彫りで表した作品。
表(おもて)面には「オルガンを奏でる聖セシリア」が浮き彫りにされています。カルロ・ドルチはこの画題の作品を複数製作していますが、このメダイに表現されたのはドレスデンにある
1671年の作品です。花嫁衣装を身にまとい、端正な横顔を見せてオルガンを演奏する聖女の聖女の胸元には、美しいブローチが飾られています。ブローチの中心部にはルビーかレッド・スピネルのような赤い石が見えますが、これは神への愛と殉教の血を表しています。赤い石を取り巻く真珠は、「マタイによる福音書」13章45節から46節において天国を表します。聖女の傍らに描かれた白百合は、純潔を象徴するとともに、殉教者セシリアがキリストに選ばれた花嫁であることを表します。
(下・参考画像) Carlo Dolci, St Cecilia at the Organ, 1671, oil on canvas, 96,5 x 81 cm, Gemäldegalerie, Dresden
本品の直径は 12.9ミリメートルで、下の写真は実物の面積を80倍に拡大しています。定規のひと目盛は1ミリメートルです。
聖女の横顔の高さは2ミリメートル弱ですが、目鼻立ちはたいへん整っています。視線の向きも原画を忠実に再現しています。ほっそりとした指の幅は0.1ミリメートルに満たないにもかかわらず、原画と同じ形でオルガンを奏でています。衣やカーテンの襞も、原画そのままに三次元化されています。
メダイの裏面にも百合が彫られています。一輪のみ咲いた花の直径は、3ミリメートルに満ちませんが、香りが感じられると錯覚するほどのリアリティで、浮き彫りに再現されています。
このメダイは数十年前のフランスで制作された真正のヴィンテージ品ですが、突出部分に摩耗は無く、各細部も制作当時の状態で残っています。