歳若いマリアの横顔をあしらったゆりかご用メダイ。象牙色のオールド・プラスティック製台座に、金属製のメダイユを嵌め込んであります。
ゆりかご用メダイのほとんどの作例において、中央の金属部分は軽量な打ち出し細工でできています。これは赤ちゃんの上に落下した場合の怪我を防ぐためです。いっぽう本品の聖母のメダイユは金属を鋳造して制作されており、類品に比べてかなり重く仕上がっています。しかしながら上部の環は類品に比べて丈夫に作られていますので、この部分が破損して落下事故が起こる心配はありません。
本品中央に嵌め込まれた鋳造メダイユは、類品に比べて格段に重厚な雰囲気を有します。また中央のメダイユの重厚さに合わせて、縁の高さが 10.8ミリメートルもある立派なプラスティック製台座が採用されています。
中央の金属製メダイユにおいて、年若い聖母は信仰の強さを感じさせる柔和で端正な横顔を見せて、しっかりと前を見ています。若きマリアの清楚な美しさは白百合を思わせます。実際、白百合は聖母の象徴ですが、それとともに神の摂理に対する無条件の信頼をも表します。受胎告知の際に「お言葉通りこの身に成りますように」と答えたマリアのまなざしは、あたかも野の白百合が神にすべてを任せて咲き誇るように、神への信頼に溢れています。種も蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない空の鳥を養い給い、また働きもせず、紡ぎもしない野の百合を装い給う神が、ゆりかごに眠るこの幼子をも愛し守り給うようにとの父母の願いが、本品に浮き彫りにされたマリアの横顔に映し出されています。
このメダイはおよそ60年前のフランスで制作された真正のヴィンテージ品ですが、古い年代にもかかわらず、 金属部分、プラスティック部分とも良好な保存状態で、特筆すべき問題はありません。艶消しされた金色の聖母像にはクラシカルで上品な趣(おもむき)があり、金めっき製品にありがちなけばけばしさは皆無です。重厚な艶消し部分と周囲の光沢部分が相(あい)補って、美しく響き合います。