19世紀最後の年に制作されたイタリアのメダイ。聖年を記念したもので、一方の面に天上なる栄光のキリストを、もう一方の面に聖なる扉を開く教皇を浮き彫りにしています。
雲の上、すなわち天にある神の玉座に座す栄光のキリストは、全宇宙の支配権を象徴する十字架付の球体、グロブス・クルーキゲルを左手に持ち、右手を挙げて祝福を与えています。この画像を取り囲むように、次の言葉がラテン語で記されています。
CHRISTO DEO SERVATORI NOVI SAECLI DEDICATIO 神なる救い主キリストに新世紀を奉献すべし
もう一方の面には聖なる扉を開く教皇が浮き彫りにされています。サン・ピエトロのバシリカにある「聖なる扉」(PORTA SANCTA) は、25年ごとの聖年にのみローマ教皇の手で開放される扉で、ふだんは壁面のように塞がれています。聖年にローマを訪れて聖なる扉を通る巡礼者には、全贖宥が与えられます。この浮き彫りは、聖なる扉を塞ぐ石積みを教皇が小さなハンマーで叩く開扉の儀式を描いています。画像を取り囲むように、次の言葉がラテン語とローマ数字で記されています。
ANNUS SACER, ROMAE, MDCCCC 聖年 ローマにて 1900年
本品はたいへん良好な保存状態です。突出部分の金が剥がれている程度で、大きな摩耗も無く、細部まで綺麗に残っています。直径、厚さとも標準的なメダイに比べて大きく、手に取ると心地よい重みがある立派な聖品です。