百年以上前に制作されたクストーディア(羅 CUSTODIA)。カトリック教会またはイギリス国教会の神父が使う携帯用の聖体容器です。
クストーディアの形状に決まりはありません。本品は形状、大きさとも十八サイズの懐中時計とそっくりで、蝶番(ちょうつがい)で大きく開くようになっています。材質はおそらくアルパカ・シルバーでしょう。アルパカ・シルバーは銀を含まない丈夫で美しい合金で、懐中時計ケースの材料としてよく使用されました。
本品には面ごとに異なる十字架意匠が手彫りされ、やはり手彫りによる唐草文で囲まれています。本品は産業的規模で生産された品物ではなく、手作りの味わいを残す全体の作りと手作業の彫金に、1880年代から
1910年代頃の雰囲気を色濃くまとっています。