サハラ西部に住む遊牧民トゥアレグ族の父から若者に伝えられる装身具。父は次の言葉をかけながら、思春期の息子にクロワ・トゥアレグ(仏 croix
touareg/touaregue トゥアレグ十字)を手渡します。「わが子よ。おまえに世界の四方位を授けよう。おまえがどこで死ぬかは分からないのだから。」
本品は数十年前、フランスが北アフリカに領土を有していた時代のクロワ・トゥアレグです。二十世紀前半のフランス製装身具と共通する特徴を多く有しますので、おそらく現地(フランス領北アフリカ)ではなく、フランス本土で製作されたものと思われます。材質はブロンズまたは真鍮に銀めっきが掛けられていましたが、下地の金属(ブロンズ、真鍮)が長い年月のうちに露出し、落ち着いた金色が真正のアンティーク品ならではの温かみを感じさせます。本品の特徴は細かく丁寧な彫金模様で、縦六十ミリメートルを超える大きなサイズは男性にも使い易く、大ぶりのアクセサリーがお好きな女性にもご満足いただけます。