3月27日 日曜日
当店アンティークアナスタシアは神戸にありますが、一昨日来店されたお客様が、いまの神戸は重苦しい雰囲気で、阪神大震災の時にそっくりだとおっしゃいました。東日本の地震の映像がテレビで放送されるのを見ると、阪神大震災の記憶が鮮明によみがえり、あのときに引き戻されます。神戸では誰もが同じ気持ちでフラッシュバックを体験しているのでしょう。当店は今回の被災地にあるわけではないのに、3月11日以降の本店の売り上げは、通常の同期間に比べて数十分の一ないし百分の一程度に減ってしまいました。
マスメディアの近視眼的な煽情主義には、ほとほとうんざりいたします。食品から通常以上の放射性物質が検出されても、被災地の復興を願うのであれば、一般の人たちに対して情報を公開する必要はないし、むしろ公開すべきではありません。
ほとんどの一般人はヨウ素同位体のベータ崩壊や、低線量放射線のLNT仮説等、素粒子物理学や放射線医学の専門知識がありません。しかるにマスメディアは、真なるデータを全体のコンテクストから切り離して一般人に提示し、その思考と感情を巧みに誘導して手品のように虚偽を産み出し、自らは責任を負いません。もしかすると報道関係者は科学に無知なだけで、大して悪意は無いのかもしれませんが、データを解釈して報道する際に犯す誤りが、例外なく経済を悪化させる方向性を有するのは、不思議と言うほかありません。あたかも「見えざる神の手」ならざる「悪魔の手」に導かれているかのようです。
たとえばホウレンソウに放射性物質が付着しているという報道に関してですが、ホウレンソウはそもそも調理の前に洗いますし、仮に洗わずに食べたところで、半減期8日の放射性同位体を一年間に亙って毎日摂取しても、年間被曝量は無視できます。具体的にイメージしにくいという方は、実際に積分計算をしてみてください。原子核物理学の専門知識など無くても、高校程度の学力があれば簡単に了解できることです。
原発事故の報道を見るたび、被災地とその周辺の農家が気の毒でなりません。もしも私が知名度と影響力のある人物であれば、テレビカメラの前で毎日大量の被災地のホウレンソウを洗わずに食べて見せるのにと、本当に歯がゆい思いです。
被災地外に暮らす者は、各自の商売に励んで利潤を追求するとともに、少しでも多くお金を使うことこそが、いま国民として為すべき義務であると信じます。プラトンは「ティマイオス」と「ポリテイア」においてカリポリス(kallipolis 理想国家)の姿を描いており、私のような商人階級(デミウルゴイ demiourgoi)は哲人王と戦士階級を支える役割をあてがわれています。日本国というポリテイアあるいはレース・プブリカ
(RES PUBLICA) が健康を取り戻すために、また被災地の人々に笑顔が戻るために、自分の持ち場でデミウルゴスの役割に励みます。
放射性物質に関するあまりにも表面的、非科学的な報道内容に憤りが収まらず、企業経営者としての意見を書きました。感情に流されると経営判断を誤るので、心を落ち着けて、次回からはにゃんこ日記に戻ります。
3月20日 日曜日
今日初めて知りましたが、通天閣の照明や戎橋の江崎グリコの看板が消灯しているそうです。地震の犠牲者を悼むためだそうですが、たいへん馬鹿げていると思います。西日本における経済活動の沈滞は、東日本の復興の障碍(しょうがい)にこそなれ、何の役にも立ちません。
江崎グリコの看板。2010年12月9日に戎橋から撮ったスナップ写真。
当店がある神戸・阪神間は16年前に直下型の地震に見舞われました。この地域には数百万人が住んでいるはずのに、線路や道路が寸断されているために、車や電車が走る音もせず、まるで無人地帯のように静まり返っていました。夜は室内の照明どころか街灯も、信号機さえ点(つ)かず、山の中のように真っ暗ななか、消す人もいない火事の炎だけが明るく、建物が燃え盛る音とサイレンの音だけが聞こえていました。
当時は生き延びることだけが目標でした。当時も他の地域では経済活動が自粛されていたのかもしれませんが、被災地にいると他の地域に目を向ける余裕など無く、被災地外から寄せられていたかも知れない無形の同情を知る由もありませんでした。
他地域におけるライトアップの消灯など、まったく無意味であり、何の役にも立たない感傷に過ぎません。大災害のただ中に身を置いた経験がある者としては、感傷的なパフォーマンスをすることで何かの役に立ったつもりの人たちに、嫌悪感さえ感じます。節電して余った経費で被災地に物資を送るなら良いことですが、実際的な意味の無い節電を続けること自体、長期的に見れば経済活動の沈滞を引き起こし、災害からの立ち直りの障碍となります。
災害からの復興に必要なのは、当初は有形の援助であり、長期的に見れば正常な経済活動です。当店は誤った自粛ムードに流されることなく、平常時の営業態勢を続けます。
3月19日 土曜日
本日のオフィスの風景です。売り場入り口の正面で丸まって、お客様を誘導する目印の役割を果たすのぶちゃん(宣代)。
近所のにゃんこが接近したので、
状況を確認する隆志。
エアコンの温風があたる場所に行き、三人がかりで温度設定を確認するスタッフ。
売り場の足下の温度設定を四人がかりで確認するスタッフ。
最近、新しい商品をウェブサイトに出品する作業が遅れ気味ですが、パソコンを操作しにくいという事情によります。
パソコンを操作するスタッフ。
キーボードを保護する迪彦。
アンジェリカ。
よっちゃん(喜宣)。
営業を終えて抽斗(ひきだし)を閉めようとすると、何か弾力のあるものに当たって閉まりません。抽斗を抜いて確認すると・・・
ぐみ嬢。どうやって入ったのでしょうか。抽斗の奥を点検中です。
点検にはもう少し時間がかかりそうで、抽斗を閉めることができません。
そのうち迪彦も加わったので、抽斗を閉めるのは諦めました。点検が終わって出てくるのを気長に待ちます。
3月7日 月曜日
一日の激務を終えてくつろぐ迪彦。
アンジェリカ。
3月6日 日曜日
商品に融け込み、売り場のセキュリティに目を光らせるぐみちゃん。置物モードと、
「ヤマネ」モード。
ディスプレイケースの蓋がずれないように押さえる仕事をしている迪彦。
迪彦は甘えん坊で、店主にくっついています。商品写真の撮影をしていて、ふと足下を見ると・・・。
3月5日 土曜日
接客トレイのクッションに問題が無いか、点検しているアンジェリカ。キャビネットの抽斗(ひきだし)の強度テストも同時に実施しています。
毎日長時間に亙って、ひとつひとつの家具が強度をテストされます。当店スタッフにより定められた安全基準は、消防署を上回る厳しさで知られています。下は荷重テストの様子。
条件を変更して繰り返される荷重テスト。
さらに条件を変更。
向かい側のキャビネットでは、別のスタッフが強度テストに取り組んでいます。
迪彦でした。
キャビネットの軋(きし)みを検知した隆志。
果たして隆志の頭上では、キャビネットを軋ませるほど過酷な荷重テストが行われていました。天板が・・・
智彦の肉球。
異常を検知して現場へと急ぐ保安要員、宣(のぶ)ちゃん。
点検の結果、異常は見つかりませんでした。
目視による安全チェック。
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