商品名: ホワイトゴールドのケースとバンド 《金無垢ロレックス 小さな宝飾時計》 四十個のダイヤモンド 全長167/172ミリメートル スイス 1960年代
商品説明:
ミッドセンチュリーと呼ばれる 1960年代頃に、ロレックス社が製作した宝飾時計。ケースの直径は 16ミリメートル、厚みは 7ミリメートルという極小サイズで、四十個のダイヤモンドが鏤(ちりば)められています。
時計内部の機械を、ムーヴメント(英 movement)といいます。
時計のムーヴメントには、電池で動くクォーツ式と、ぜんまいで動く機械式があります。現代の時計はほぼすべてクォーツ式ですが、これは 1970年代から使われ始め、1980年代に本格的な普及を見たものです。本品が製作されたミッドセンチュリー(二十世紀中頃)にクォーツ式ムーヴメントはまだ存在しておらず、時計はすべてぜんまいで動いていました。
ぜんまいで動く機械式時計には、手動でぜんまいを巻き上げる手巻きと、回転錘(かいてんすい、ローター)の動きでぜんまいを巻き上げる自動巻き(オートマティック)があります。ミッドセンチュリーの女性用時計はたいへん小さく、回転錘をはじめとする自動巻き機構を取り付けると機械の厚みが目立ちます。
これをコロコロしていて可愛いと感じるか、分厚くて不格好と感じるかは時代の流行によりますが、ミッドセンチュリー当時は薄い時計が流行していましたので、女性用時計は手巻き式が好まれました。本品も手巻き時計です。
手巻き時計には自動巻き機構がありませんから、当然のことながら自動巻き機構の故障が起こりません。すなわち手巻き時計は構造が単純であるぶん、自動巻きに比べて故障しにくい利点があります。本品には秒針もありませんから、秒針に関連する故障も起こりません。
また自動巻き機構を採用した男性用時計には、曜日や日付を表示する機種が多くあります。曜日や日付は日板(ひいた)と呼ばれる平たい環に書かれていて、文字盤の小さな窓から曜日や日付が覗くようになっています。日板は爪で回転させますが、爪が鉄製だと日板が削れ、プラスチック製だと爪が削れて、いずれの場合もいずれは動かなくなります。本品には日板がありませんから、この点でも男性用時計より壊れにくくできています。
三時の位置に付いているツマミを、竜頭(りゅうず)といいます。機械式時計のぜんまいは、竜頭を時計回りに回転させることで巻き上げます。竜頭の操作は簡単で、誰でも扱うことが出来ます。初めての方でも心配要りません。
クォーツ時計はぜんまいを巻く必要が無いので、たいへん小さな竜頭が付いています。クォーツ時計で竜頭を操作するのは、止まっていた時計の電池を入れ替えた場合など、時刻合わせが必要なときだけです。これに対して手巻き時計は竜頭でぜんまいを巻き上げますので、操作しやすいサイズのしっかりとした竜頭が付いています。
秒針があるクォーツ式時計を耳に当てると、秒針を動かすステップ・モーターの音が一秒ごとにチッ、チッ、チッ… と聞こえます。デジタル式など秒針が無いクォーツ式時計を耳に当てると、何の音も聞こえません。本品のような機械式時計を耳に当てると、小人が鈴を振っているような小さく可愛らしい音が、チクタクチクタクチクタク…と連続して聞こえてきます。
ムーヴメントを保護する金属製の容器、すなわち時計本体の外側を、ケース(英 case)といいます。本品のケースは十八カラット・ホワイトゴールド(十八金)でできています。このカラット(karat)は金の純度を表す単位で、宝石の重量を表すカラット(carat)とは別です。
純金は二十四カラットで、二十四金とも言います。本品は十八カラット(十八金)で、これは金の純度が 18/24、すなわち七十五パーセントの金合金です。本品のようにケースが金合金でできている時計を、金無垢(きんむく)時計といいます。
純金(二十四金)は金色ですが、軟らかすぎて容易に変形し、時計のような実用品に使うことが出来ません。もしも時計ケースを純金で作ると、すぐに変形してムーヴメントが転がり落ちます。それゆえ時計ケースやジュエリーを金で作る場合は、必ず他の金属を混ぜて金合金にします。金に銅と銀を混ぜると、金色のままです。金に銅だけを混ぜると、ピンクゴールドになります。金に銀だけを混ぜると、グリーンゴールドになります。金にニッケルを混ぜると、ホワイトゴールドになります。ホワイトゴールドは白金(プラチナ)ではなく、金の合金です。
金の延べ棒は二十四金(純度百パーセントの金、純金)ですが、時計やジュエリーなどの実用品は十八金が最も高純度です。ホワイトゴールドにはニッケルが含まれますが、十八カラットであれば金の割合が高いですし、ホワイトゴールド製品にはロジウムめっきが掛けられているので、ニッケルに対してアレルギーがある方でも心配ありません。
時刻を表す刻み目や数字が配置された板状の部品を、文字盤(もじばん)または文地板(もじいた)といいます。文字盤の周囲十二か所にある長針五分ごと、短針一時間ごとの目印をインデックス(英
index)といいます。
時計のインデックスには、年代毎に明確な流行があります。二十世紀初頭から1940年代までの腕時計には、アラビア数字が使われます。1950年代になると、文字盤にはアラビア数字とバーが交互に書かれます。1960年代に入ると文字盤からアラビア数字が姿を消し、インデックスはすべて線や小さな幾何学図形になります。
線や小さな幾何学図形のインデックスを、バー・インデックスといいます。本品のインデックスは、いかにも 1960年代らしいバー・インデックスです。
本品の文字盤は、艶消しのライトシルバー(明るい銀色)です。インデックスは脚付きの小部品を文字盤に植字し、美しい立体インデックスとなっています。十二時にはロレックスの王冠マーク、三、六、九時には槍の穂先形インデックス、他の八か所にはシンプルな棒状のインデックスを配しており、槍の穂先形インデックスが針の形と良く合っています。
王冠マークの下にロレックスのロゴ(ROLEX)、六時の下にスイス(SWISS スイス製)の表記があります。
現代の時計には当たり前のように秒針が付きますが、本品の文字盤は直径 11ミリメートルと小さく、細い秒針を付けてもよく見えないので、秒針ははじめから付いていません。
腕時計の秒針は本来ストップウォッチの代用であり、医師や看護師、技術者などが仕事の現場で使う機能です。しかるに本品はドレス・ウォッチであり、どのようなサイズの時計であれ、ドレス・ウォッチにはそもそも秒針がありません。
本品のベゼルとラグには、四十個のダイヤモンドがセットされています。十二時側と六時側には可愛い若葉の装飾があり、若葉と若葉のあいだには大きめのダイヤモンドがあしらわれています。写真にうまく写っていませんが、ダイヤモンドはどれも七色の輝きを放っています。実物の美しさは、写真で表現できません。
鉱物の光沢は樹脂光沢、ガラス光沢、亜金剛光沢、金剛光沢に分かれます。樹脂光沢は琥珀、スファレライト、スフェーン等の光沢です。ガラス光沢はルビー、エメラルド、アクアマリン、トルマリンなどの光沢で、大抵の宝石はガラス光沢を有します。亜金剛光沢はサファイアの光沢で、強いガラス光沢とも表現されます。金剛光沢はダイヤモンドのみが有する光沢で、最も強く輝きます。
ダイヤモンドは眩(まばゆ)い光沢を有することに加え、強い分散(白色光を七色に分けること)を起こしますので、瑕(きず)があっても肉眼で判別できません。この特性を利用して、時計にはジュエリーに使えないダイヤモンド、いわゆる屑ダイヤがよく使われます。屑ダイヤは男性用ロレックスにもよく使われています。しかしながら本品のダイヤモンドには瑕(きず)がありません。女性用のジュエリー・ウォッチであるからこそ、ジュエリーそのもののっ綺麗なダイヤモンドが使用されています。
上の写真の一枚目は、ケースの裏側を撮影したものです。二枚目はケースの裏蓋を開けて、その内側を撮影しています。
18K と 0,750 は同じ意味で、十八カラット・ゴールドを示します。その右側に見えるのはヘルヴェティア(Helvetia スイスを擬人化した女性像)の横顔を模(かたど)る検質印(ホールマーク)で、やはり十八カラット・ゴールドを示します。
鉄鎚の頭はポワンソン・ド・メートル(poinçon de maître)と呼ばれる刻印で、115はラ・ショー=ド=フォンの時計ケース製造業者、ファーヴル・エ・ペレ(Favre
& Perret)に割り当てられた番号です。ラ・ショー=ド=フォン(La Chaux-de-Fonds)は時計産業の聖地とも呼ぶべきスイス西部の町で、ユネスコの世界遺産にも登録されています。ロレックスの本社はジュネーヴにありますが、本品のケースはラ・ショー=ド=フォンで作られたことが分かります。最下部に打刻された二桁の数字(48)は、ケースの型式でしょう。
上の写真は本品のムーヴメントを一円硬貨の上に置いて撮影しています。一円硬貨の直径が 20.0ミリメートルであるのに対し、本品ロレックス・キャリバー
1401の直径は 13.7ミリメートルしかありません。高精度の機械を小さく作るのはたいへん難しいことですから、本品キャリバー 1401の製作には、男性用ロレックスを凌ぐ技術が投入されています。
上の写真では、ムーヴメントの手前右寄りに金色の大きな環が写っています。これは天符(てんぷ)といって、振り子の役割をする部品です。天符には多数の微小な突起が見えますが、これはチラネジというネジです。天符は機械式時計に特有の部品です。電池で動く時計(クォーツ式時計)に天符はありません。
機械式クロックにおいて、最も大切な部品は振り子です。機械式クロックは振り子によって時を測ります。しかるに懐中時計や腕時計には振り子を取り付けることができません。時計が傾くと振り子が止まるからです。天符はいわば傾けても止まらない振り子で、クロックの振り子と同様の振動を行います。振動とは一方向に回り続けるのではなく、往復するように回転することです。
上の写真は時計のぜんまいを巻き上げて撮影しました。天符は高速で振動していますので、チラネジがぶれて写っています。天符の振動は天符中心のひげぜんまいによります。
ひげぜんまいは正確に時を計るための最重要部品ですが、アンティーク時計のひげぜんまいは下手な修理で歪んでいる場合があります。歪んだひげぜんまいを修整するのはたいへん難しい作業で、修理はほぼ不可能です。しかしながら本品のひげぜんまいはゆがみも無く、たいへん良い状態です。
本品のように良質の機械式時計は、高速で作動しても部品が摩耗しないように、ルビーを部品として使用しています。ルビーはサファイアと同じくコランダム (Al2O3) という鉱物で、モース硬度 9 と非常に硬いので、高級時計の部品として使用されます。
必要な部分すべてにルビーを入れると、十七石(じゅうななせき)のムーヴメントになります。十七石のムーヴメントはハイ・ジュエル・ムーヴメント(英
high jewel movement)と呼ばれ、高精度、長寿命の高級機です。本品はハイ・ジュエル・ムーヴメントで、写真に赤く写っているのがルビーです。ルビーは五つしか見えませんが、あと十二個のルビーは写真に写っていないところに使われています。
本品のバンド幅は九ミリメートルで、細かい鎖を密に編んだ構造になっており、手首に沿ってしなやかに曲がります。
留め金を掛ける箇所は二か所あって、そのどちらに掛けるかにより、バンドの長さは多少の融通が利きます。時計本体を含めた装着時の全長は、167ミリメートルまたは
172ミリメートルです。上の写真は全長 172ミリメートルの状態です。
バンドの素材はケースと同じ十八金で、留め金に純度の刻印があります。
金合金に関して述べた通り、金は軟らかい金属です。特にバンドは肌と常に擦れ合って摩滅しやすい箇所であり、中空の部品を組み合わせた金製バンドは裏側(手首に当たる側)が摩耗して孔が開きます。しかしながら本品のバンドは無垢、すなわち中身が詰まった金で出来ていて、中空ではありませんので、孔が開くことは決してありません。
本品には40個のダイヤモンドが使われています。それゆえ40歳や40周年の記念に購入されるのも良いかもしれません。また27の約数は 1, 3, 9, 27で、その和は 40です。それゆえ本品のダイヤモンドの個数は27とも関係があり、27歳や27周年の良い記念にもなります。
1960年代は機械式時計の技術が最高水準に達した時代であり、それ以降現代まで大きな革新はありません。アンティーク時計(ヴィンテージ時計)と言っても、本品の技術水準は現在ロレックス社が製作している時計と同等であり、現行品よりもはるかに小さい本品は、むしろ現代の時計を凌ぐ技術で製作されています。デリケートなイメージのアンティーク時計ですが、丁寧に取り扱えば、日常使用も十分に可能です。
本品は部品が在庫していないので現状売りと表示していますが、これは時計お買い上げ後の不具合に対応しないという意味ではございません。現状売りの時計であっても、アンティークアナスタシアでは修理に対応しております。
お買い上げから一年の保証期間中は自然故障に無料で対応いたします。また保証期間が切れた後も期限を切らず出来る限りの修理に対応いたしますので、安心してお買い上げくださいませ。
お支払方法は現金一括払い、ご来店時のクレジットカード払いのほか、現金の分割払い(三回払い、六回払い、十回払いなど。利息手数料なし)でもご購入いただけます。当店ではお客様のご希望に出来る限り柔軟に対応しております。ご遠慮なくご相談くださいませ。
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電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。
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