パリのアンティーク店でお客様が購入された1920年代の時計を修理しました。ペンダントとして使っておられたのですが、着用中に紐が外れて落下し、風防が割れてしまいました。また青色石付きの竜頭が付いていましたが、青色石も粉々に砕けました。時計自体も動きません。

 ケースを開けると、スイス製の十五石手巻きムーヴメント「グリュエン キャリバー 835」(ロレックス キャリバー 200)が入っています。残念ながら天真が折れています。機械式時計の天真折れは最も深刻な故障で、人間でいえば脳や心臓が停止した状態です。

 「グリュエン cal. 835」(ロレックス cal. 200)は 1920年代の機械で、天符にはブレゲひげを使用しています。このため天真の入れ替えは極めて困難で、天符一式を手に入れる必要があります。しかしながらグリュエン社はとっくに消滅していますし、ロレックスに問い合わせても、九十年前の機械の部品は手に入りません。普通であれば、この時計は修理不可能です。





 当店には「グリュエン cal. 835」が在庫しています。右側が当店のもので、天符は壊れておらず、機械の全般的な状態も、お客様の時計より良好です。





 当店には九十年前の時計用クリスタル(風防)も在庫しています。上の写真がお客様の時計にぴったり適合するクリスタルです。





 1920年代の石付き竜頭は現在では手に入りませんが、当店には在庫しています。上の写真で左側に写っているのがお客様の竜頭です。石が砕けて取れてしまったので、同じ色の石付き竜頭をご用意しました。

 あとはオーバーホールと精度調整をして、修理完了です。




参考 ― 時計修理 インデックスに戻る


時計と関連用品 商品種別表示インデックスに移動する

時計と関連用品 一覧表示インデックスに移動する



アンティークアナスタシア ウェブサイトのトップページに移動する




Ἀναστασία ἡ Οὐτοπία τῶν αἰλούρων ANASTASIA KOBENSIS, ANTIQUARUM RERUM LOCUS NON INVENIENDUS