お客様のおじいさまが使っておられた腕時計の修理依頼です。美しい金無垢時計で、ケースを開けると、8 3/4リーニュ(地板の直径 19.74 mm)の高級な十七石手巻ムーヴメントが出てきました。





 これは1930年代に製造されたフォンテンメロン社(スイス)の「キャリバー 170」です。天符の動きがおかしいので調べると、天真が折れています。ひげぜんまいは大丈夫そうです。

 天真折れの場合、機械ごと入れ替えてしまうという方法もあるのですが、おじいさまが昔購入された時計ということでしたので、現状の変更は最小限にとどめることにし、天真のみ交換することにしました。


 


 時計部品は一辺2.5cmほどの小さなパッケージに入っています。表側に部品名(天真)と、対応するムーヴメントの種類(フォンテンメロン、8 3/4リーニュ、cal. 170)が明記され、裏側にエボーシュ社の刻印(EBAUCHES S.A. SWISS MADE)があります。この部品は70年ほど前のものです。やっと出番がきて張り切っていることでしょう。

 これがフォンテンメロンcal. 170の天真です。大きさは3ミリメートルたらずです。







 ムーヴメント全体の大きさと比べると、天真はたいへん小さいですが、機械式時計の部品のなかでも最も大切なもののひとつです。天真交換は無事完了し、おじいさまの時計は蘇りました。







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