お客様のおじいさまが使っておられた懐中時計の修理依頼です。シンプルなデザインの懐中時計で、ケースを開けると12サイズのアメリカ製ムーヴメント、エルジンキャリバー303が出てきました。ダマスク彫金細工が美しく、美術工芸品のようです。
シリアル番号から照合すると、1920年製であることがわかります。90年近くも前のものですが、古い割には良いコンディションです。時計の年代から見て、おじいさまは、そのまたお父様あるいはおじいさまから譲られたのではないでしょうか。
重大な故障がひとつあります。天真の裏蓋側のホゾが折れているのです。これでは動きません。ひげぜんまいは大丈夫そうです。
十二サイズのエルジン社製懐中時計は、二種類の天真のいずれかを採用していました。シングル・ローラー・テーブルのものと、ダブル・ローラー・テーブルのものです。まず初めに、この時計がどちらの天真を持っているかを調べなければなりません。天符を外してみることにします。天符を外すとアンクルの端が見えます。ダブル・ローラー・テーブル天真用の形状です。
下の写真には天符が写っています。ダブル・ローラー・テーブルです。写真には文字盤側の天真のホゾが写っています。こちらは折れていませんが、反対側が折れています。
在庫のパーツを調べましたが、シングル・ローラー・テーブルの天真しかありませんでした。アメリカの時計ともだちに相談すると、ダブル・ローラー・テーブルのものを持っているということでしたので、譲ってもらいました。あとはオーバーホールさえすれば、この時計はよみがえります。
参考画像 エルジン 12サイズ シングル・ローラー・テーブルの天符とアンクル
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