直径 25ミリメートルほどの女性用懐中時計をセットして、手首に着用できるようにするためのバンド。十九世紀末から二十世紀初頭頃にフランスで制作されたもので、800シルバーのポワンソン(貴金属の検質印)と銀細工工房のマークが刻印されています。各コマはバネで伸びるようになっています。バネが全く伸びていない状態で平置きして測った全長は、164ミリメートルです。
環状になった中央部分の平常時の幅は、2.5センチメートルです。この部分を手で左右に開き、小さな懐中時計を嵌め込むと、バネで戻って時計が固定されます。時計はバネの力でしっかりと固定されるので、落下の心配はまずありませんが、万全を期するために、銀のセイフティ・チェインが付いています。セイフティ・チェインは時計のボウ(懐中時計の竜頭を囲む環状の金具)に接続して使います。
本品の保存状態は極めて良好で、特筆すべき問題は何もありません。各部のバネや留め金に、不具合は一箇所もありません。
下の写真は本品の使用例です。時計はブランパン製「ホールマーク 15石」です。この時計の直径は 24ミリメートル、ベゼル部分の厚さは 7ミリメートルで、しっかりと固定されています。