ニューヨークのティファニー・アンド・カンパニーはジュエリー店として有名ですが、装飾品も作っています。本品は同社が制作したガラスの猫で、1977年頃のものです。
1977年、ティファニー社は「眠る猫」のモティーフで、磁器の小箱、銀のコンパクト、ガラスのフィギュアを制作しました。このうち磁器の小箱(トリンケット・ボックス)は年に一度くらい見かけますが、銀のコンパクト、ガラスのフィギュア(本品)はきわめて稀少です。それぞれが何個制作されたのか、筆者(広川)は知らないのですが、どちらもまず手に入りません。
本品はフランスにあったものです。筆者はこのデザインのガラス製フィギュアが存在することを、本品を見るまで知りませんでした。猫の置物はどのメーカーにもありがちですし、ティファニーが別の年に作ったガラスの猫も、美しくはありますが、どちらかと言えばありきたりなデザインです。しかしながら本品は十分に芸術品と呼べます。
筆者(広川)はいわゆる高級ブランドに興味がありませんが、この猫はたいへん美しく、自分用にもひとつ欲しいと思いました。しかしフランスの友人は二個目を持っておらず、フランスの別の人たちや、他の国の取引先に問い合わせても、誰も持っていませんでした。
手に入らないとなると余計に欲しくなって、インターネットを検索しました。別の年にティファニーが作った本品とは別意匠のガラスの猫は比較的見つかり易いですし、1977年に通られた本品と同意匠の磁器製小箱も、やはりいくつか見つかりました。銀のコンパクトは、十万円前後で売っているものがふたつ見つかりました。しかしながら本品と同じガラスのフィギュアは、少なくとも筆者が英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語、ロシア語で探した範囲では、ひとつも見つかりませんでした。一点ものではないだろうと思いますが、非常に少ない制作数であったと思われます。
上の写真は本品を男性店主の手に載せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真で見るよりもひと回り大きなサイズに感じられます。
本品は美術品としての水準が高い上に、ほとんど入手不可能です。当店としても手放し難いですが、お気に召した方にお譲りいたします。下記は本体価格で、仕入れ値とあまり変わりません。