細かい手作業による金銀象嵌のダマスキナド 《バスクの誇り》 エイバルのカフリンクス 20 x 15 mm


楕円形部分のサイズ 20 x 15 mm  紡錘形部分のサイズ 22.5 x 7.5 mm

エイバル(スペイン)  20世紀


 スペイン北東部、バスク州のエイバル(Éibar バスク州ギプスコア県)は 14世紀以来現在に至るまで銃器製造の中心地として知られています。高名な銃器職人の息子としてこの町に生まれたエウセビオ・スロアガ・ゴンサレス (Eusebio Zuloaga González, 1808 - 1898) は、銃身を飾るダマスキナド(西 damasquinado 金銀の象嵌)を考案し、1851年のロンドン万国博覧会で高い評価を得ました。エウセビオ・スロアガ・ゴンサレスが創始して広めた技法によって、エイバルはダマスキナド工芸によっても知られるようになりました。





 ダマスキナドはたいへん手間がかかる技法です。本品は次のような工程を経て制作されています。

1. 楕円形及び紡錘形の鋼に、曲面に沿ってやすり掛けをし、艶消し処理をする。また 5.及び 6.の工程で象嵌を施す位置に、ビュラン(彫刻刀)で溝を彫る。

2. 1.で作った部材の表面を、酸化鉄被膜あるいはタンニン鉄被膜で黒変させる。

3. 2.で作った部材に、帯状の部分金めっきを施す。

4. 針金状の金を使用し、3.の部材に象嵌(ぞうがん)を施す。本品には色合いの異なる二種の金が使われている。

5. 針金状の銀を使用して 4.の部材に象嵌を施す。

6. 5.の部材の銀線に、ミル打ち様の彫金細工を施す。金めっき部分にもタガネで文様を付ける。

7. チェーンで繋いだ台座に、6.の部材を嵌め込み、プロング・セット(爪留め)する。





 上の写真に写っている定規のひと目盛は 1ミリメートルです。熟練職人の手作業による非常に細かい細工がお分かりいただけます。上の写真で左側に写っているピースは、着用時、袖の裏側になる部分です。銀線が一部、外れていますが、実物を肉眼で見てもおそらく気付きません。私自身、撮影した写真をパソコンのモニタで拡大するまでは、まったく気付きませんでした。





 本品が作られたエイバルは左派色が強く、1931年にアルフォンソ13世が退位に追い込まれた際、第二共和政を最初に受け容れた都市として知られています。スペイン内戦ではフランコ軍によって徹底的に破壊し尽くされましたが、エイバルは不屈の精神で再建を果たしました。エイバルの人々は現在でも独立心が強く、市民の半数はバスク語のみを話します。残りの半数はバスク語とスペイン語のバイリンガルで、スペイン語しか話さない人はほとんどいません。また本品のようなダマスキナド(象嵌)と並んで、銃器製造はエイバルの最重要産業であり続けています。

 本品は数十年前に制作された真正のヴィンテージ品ですが、特筆すべき問題は無く、日々ご愛用いただけます。一箇所の銀線が 3ミリメートルぶん欠落していますが気になりません。





本体価格 21,000円 18,900円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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