美麗・極稀少品 パート=シュル=パートによる「初聖体の少女」 最後期のセーヴル製 52 x 42 mm
磁器部分のサイズ 45 x 35 mm
枠を含めたサイズ 52 x 42 mm (上部に取り付けたチェーンを除く)
セーヴル 1910 - 20年代頃
初聖体に臨む少女を、ブルーに色付けした素地に透明感ある白で表現した磁器製メダイユ。少女は「キリストの花嫁」のドレスを着、透き通るような薄絹のヴェールを被って、穏やかな表情で前方を見つめています。軽く結んだ口許には、幸福そうな微笑みが浮かんでいます。
本品は一見したところジャスパーウェアにも似ていますが、少女を表した白色磁器の層は非常に薄く、ジャスパーウェアのように別作の部品を貼り付けたのではないことが分かります。これは高級磁器に施される「パート=シュル=パート」と呼ばれる高度な技法で、あまりにも手間がかかるゆえに、現在では制作されなくなっています。
「パート=シュル=パート」(pâte-sur-pâte) とはフランス語で「生地重ね」という意味で、陶土の重ね塗りによって、浅浮き彫りのような三次元の像を制作する技法です。有色の素地の上に、水で溶いた陶土を筆で塗って乾かす作業を多数回に亙って繰り返し、最後に刃物で細部を仕上げます。これを焼成すると、上塗りした陶土層の薄い部分が透き通り、非常に美しい作品となります。
パート=シュル=パートは筆で塗った陶土の層が薄いために、下地の色が透けて見え、仕上がりの透明感はジャスパーウェアに比べて格段に優れています。また型で作った部品を素地に貼り付けて量産されるジャスパーウェアと違い、パート=シュル=パートはすべて一点ものであり、その制作には非常な労力が費やされています。
本品はセーヴルにおけるパート=シュル=パートの制作が終わりに近づいた1910年代から20年代頃のもので、この技法による作品として完成された美を誇ります。パート=シュル=パートによる作品はいずれも非常に稀少ですが、すべてが優れた出来栄えとは限らず、陶土で描かれた像の輪郭付近に滲みがあったり、筆の跡が目立ったりする作例も多く見受けられます。数少ないパート=シュル=パート作品のなかでも、本品は際立って丁寧に作られています。
なお写真では実物の色や透明な輝きが再現できません。パート=シュル=パートの実物は写真よりもはるかに美しく、必ずご満足いただけます。上部のチェーンを取り外し、あるいは枠をすべて取り外して、磁器部分だけを額装するのも良い方法です。
42,000円 販売終了 SOLD
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