「リュタン・リアン」 にこにこコビト印 カレ・ド・レストのチーズ・ラベル 7.7 x 7.7 cm 1960年代
カレ・ド・レストはフランス北東部グラン・テスト地域圏のロレーヌ地方に発祥する正方形のフロマージュ(チーズ)で、牛乳を原料とするブリー(仏 brie 白かびチーズ)の一種です。カレ・ド・レスト(仏
le carré de l'Est)は「エスト(東)の正方形」という意味です。
フロマージュの箱に貼るエティケット(仏 etiquette レイブル、ラベル)を、フランス語でティロゼム(仏 tyrosème)といいます。本品はカレ・ド・レストのティロゼムで、可愛らしいコビトをモティーフにしています。ティロゼムの縦横のサイズは
77 x 77 ミリメートルです。
ティロゼムの左側には、緑色を背景に、微笑みながら嬉しそうに飛び跳ねるコビトをあしらい、「リュタン・リアン」のブランド名を書いています。「リュタン・リアン」(仏
lutin riant)とはフランス語で「微笑むコビト」という意味です。コビトの体はエル(L)の文字になっています。
ティロゼムの右側には、赤を背景に、「カレ・ド・レスト」(仏 carré de l'est)の文字を書いています。ティロゼムの下部には、黄色を背景に、「サンカント・プル・サン、マチエール・グラス」(仏
50 % matières grasses 脂肪分五十パーセント)と書かれています。ティロゼムの上部には、白を背景に、「ファブリケ・アン・シャンパーニュ サンカンテ・アン、アシュ」(仏
fabriqué en Champage 51H)と書かれています。サンカンテ・アン(51)はグラン・テスト地域圏マルヌ県(le département
de la Marne, Grand Est)の県コード、アシュ(H)は乳製品加工場コードです。
ティロゼムの最下部中央に、緑色の小さな文字で「ドバール、ランス」(Debar, Reims)と書かれています。ドバールはランス(Reims グラン=テスト地域圏マルヌ県)の印刷業者で、ティロゼム作りの大手です。筆者(広川)はドバール社の創業年を知りませんが、二十世紀の各時期に同社が刷ったグラン・テスト地域の風景画などを時々目にします。古い例では、オー・フォルト(エッチング)で飾った十九世紀末か二十世紀初頭頃のメニューに、ドバールの名前が入っているのを見たことがあります。
本品は新品のまま使用されずに残っていたデッド・ストック品です。非常に良好な保存状態ゆえに最近のものにも見えますが、1980年頃に一般化するバーコードは本品に刷られておらず、1972年に導入される五桁の郵便番号も書かれていません。
なおフランスでは 1971年にバール・ブリュ(仏 la barre bleue)、すなわちチーズの乳脂肪分のパーセンテージを表示する青いバー状のスペースがパッケージに導入されましたが、カマンベール、クーロミエ、リヴァロ、エダム、グリュイエール、カレ・ド・レスト等、成分がほぼ決まっている伝統的な種類のチーズのパッケージにバール・ブリュは使われません。本品は伝統的なカレ・ド・レストのティロゼムですので、1970年代に刷られたものであってもバール・ブリュはありません。しかしながらイラストの作風から判断しても、本品は
1960年代のものと見て間違いないでしょう。
本品はアンティーク風の額と臙脂色のベルベットを使用し、手軽に飾っていただけるサイズに額装しました。写真の額は縦横のサイズが 14.5 x 14.5
センチメートル、厚みが 3 センチメートルで、自立式、壁掛け式の両様に使えます。ベルベットの色は変更できます。
9,500円 (写真の額装・税込)
電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。
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