メゾティント mezzotinting

 プファルツ選帝侯フリードリヒ5世の息子で、ピューリタン革命でチャールズ1世側に立って戦ったバイエルン公ルパート王子(Prince Rupert of the Rhine, 1619-82)が、メゾティントの発明者です。

 Sir Anthony van Dyck, Rupert, Count Palatine of the Rhine, Duke of Bavaria, 1631-32


 メゾティントの製版を行うには、最初にロッカーという道具で銅板の表面に凹凸をつけます。

 ロッカーと、ロッカーの痕

 もしもこの時点でインクを載せて刷れば、画面は真っ黒になります。(下図)。




 次に明るくしたい部分の凹凸をスクレイパーまたはバーニシャーという道具で取り除いてゆきます。製版の過程が明から暗に移ってゆく(黒く刷られる線や面を作ってゆく)のが版画の通例ですが、メゾティントはまず最初に真っ黒な背景を作って、明るい部分を少しずつ作り出してゆきます。暗から明へと製版してゆく唯一の技法です。


【下図】 メゾティントの製作が進むにつれて画面が明るくなる様子。

 スクレイパー適用1回目

 スクレイパー適用6回目


 メゾティントを刷るのは非常に難しく、特に大きな作品であれば、熟練した職人でも一日に8枚から10枚を刷るのがやっとでした。




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