聖公会の聖餐式用カリスを修理いたしました。このカリスはスターリング・シルバー製で、バーミンガム・アセイ・オフィスにおける 1778年の検質印があります。
このカリスには腐食によると思われる罅があり、小さな孔が貫通して、葡萄酒が漏れる状態になっていました。下の写真で目印を付けているところが、破損個所です。
カリスの外側はエングレーヴィングで装飾されているため、破損箇所の判別が困難です。カリスの内側から見ると、破損箇所が判別できます。
小さな孔を通して、光が漏れています。
修理が完了した状態の写真です。孔は完全に塞がりました。
なお本品は内側に金めっきが施されていますが、過去に行われた修理によって、直径六、七ミリメートルの金めっきが既に失われていました。しかしながら、あたかも対向して置いた鏡が互いに反射し合うように、カリスの内側は相対する面が反射し合って金色に輝き、めっきの剝がれはまったく目立ちません。今回の修理でも直径二ミリメートルほどの金めっきが無くなりましたが、再めっきは施しませんでした。
本品の修理費用は、二万円です。