エドワード・ヘンリー・コーボウルド Edward Henry Corbould, R.I., 1815 - 1905
(上) Edward Henry Corbould,
"Go, and sin no more." or
"Woman Taken in Adultery", engraved by Charles Henry Jeens, 1854, 249 x 194 mm, 1854 the British
Museum
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エドワード・ヘンリー・コーボウルドはイギリスの画家で、主に文学及び歴史を主題にした水彩画で知られます。
【エドワード・ヘンリー・コーボウルドの生涯】
エドワード・ヘンリー・コーボウルド(Edward Henry Corbould, R.I., 1815 - 1905)は、1815年12月5日にロンドンで生まれました。エドワード・ヘンリーの祖父リチャード・コーボウルド(Richard
Corbould, 1757 - 831)、伯父ジョージ・ジェイムズ・コーボウルド(
George James Corbould, 1786 - 1846)も画家でした。エドワード・ヘンリーの父ヘンリー・コーボウルド(Henry
Corbould, 1787 - 1844)も画家で、「夢魔」の絵がよく知られるヘンリー・フューズリ(Henry Fuseli,
RA, 1741 - 1825)の弟子でした。
エドワード・ヘンリー自身はヘンリー・サス(Henry Sass, 1788 - 1844)の弟子となり、王立アカデミー美術学校に入学して研鑽を積みました。1834年には水彩画「ファエトーンの墜落」(
"the Fall of Phaeton")、1835年には彫刻「聖ゲオルギウスとドラゴン」(
"St George and the Dragon")が王立芸術協会(the Royal Society of Arts, RSA)の展覧会に出品され、いずれも金メダルを獲得しています。またロンドンのカウンティ議会(London
County Council,
LCC, 1889 - 1965)がブラックフライアーズ橋(Blackfriars Bridge テムズ川にかかる橋の一つ)に設置する予定であった彫刻をデザインしましたが、この作品は制作されずに終わっています。
(上) Edward Henry Corbould, "Ladie Godiva", 1871, Oil on panel,
121.9 x 71.1 cm エドワード・ヘンリー・コーボウルドによる「ゴディヴァ夫人」。珍しい油彩作品。
エドワード・ヘンリー・コーボウルドが主に制作したのは、文学及び歴史を主題にした水彩画でした。王立水彩画家協会(The Royal Institute
of Painters in Water Colours, RI)の展覧会に、コーボウルドは 1837年から 1898年までの六十二年間に亙り、作品を出品しました。
エドワード・ヘンリー・コーボウルドは 1905年1月18日、ケンジントンで亡くなりました。ケンジントンの聖メアリ・アボッツ教会(St Mary
Abbots)にはコーボウルドを記念する銘板があります。
【コーボウルド父子と郵便切手】
(上) 父ヘンリー・コーボウルドによる切手 「ザ・ペニー・ブラック」 1840年
世界最初の郵便切手は、1840年にロンドンで発行された「ザ・ペニー・ブラック」(the Penny Black
)です。「ザ・ペニー・ブラック」にはヴィクトリア女王の横顔が描かれていますが、これはエドワード・ヘンリーの父、ヘンリー・コーボウルド(Henry
Corbould, 1787 - 1844)によります。
(上) エドワード・ヘンリー・コーボウルドによる切手 モーリシャス 1858年
息子のエドワード・ヘンリーも切手のデザインを手がけました。バルバドス、モーリシャス、トリニダードは現在いずれも独立国ですが、かつてはイギリスの植民地でした。これらの植民地で
1850年から 1880年まで使われた最初の郵便切手は「シーティッド・ブリタニア」(the seated Britannia ブリタンニアの座像)が描かれています。「シーティッド・ブリタニア」は古典古代以来の伝統的な図柄ですが、切手の原画はエドワード・ヘンリー・コーボウルドによります。
1919年にロンドンにおいて、父ヘンリー・コーボウルドによるまとまった数の作品が競売にかけられました。その中には息子エドワード・ヘンリーによるバルバドス、モーリシャス、トリニダードの切手の原画が含まれていましたが、これは切手収集に熱心であった国王ジョージ五世によって、競売後に買い取られました。
【コーボウルドと王室】
(上) Edward Henry Corbould,
"The Marriage of Sir Nigel Bruce and Agnes of Buchan", 1870, Oil on canvas, 82.0 x 122.7 cm
アルバート公(Albert, Prince Consort, 1819 - 1861 1840年にヴィクトリア女王と結婚)は、1842年にエドワード・ヘンリー・コーボウルドの「姦淫を犯した女」(
"Go, and sin no more." or
"Woman Taken in Adultery", British Royal Collection)を購入しました。またコーボウルドは王室からの信頼が厚く、1851年からは女王の子供たちに歴史画の描き方を指導しました。1861年にアルバート公が亡くなった際、エドワード・ヘンリー・コーボウルドは公の遺体の肩から上を写生しました。またヴィクトリア女王は
1871年、コーボウルドに「ナイジェル・ブルース卿とバハンのアグネスの結婚」(
"The Marriage of Sir Nigel Bruce and Agnes of Buchan", 1870, British Royal Collection)を公開するように命じました。その後、何らかの理由により、コーボウルドと王室の親しい関係は解消されています。
王室の歴史画教師を辞したコーボウルドは、一時中断していた王立水彩画家協会(RI)の展覧会への出品を再開しました。また「ザ・イラストレイティッド・ロンドン・ニューズ」(the
Illustrated London News ロンドン絵入り新聞)や文学書などの挿絵も多く手がけました。ごく少数の油彩画も描きましたが、コーボウルドの全経歴を通じて、作品のほとんどは水彩画でした。
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