アンティーク細密肖像画 日本のかんざしを着けた女性像 フランスにおけるジャポニスム 楕円形の小さな額入り


画面サイズ  48 x 38 ミリメートル

額のサイズ  100 x 93 ミリメートル


フランス  19世紀後半



 19世紀後半のフランスで、透明水彩とグワッシュにより制作された手描きミニアチュール(細密肖像画)。首をわずかに傾げてコケティッシュに微笑む女性は、古典主義絵画の女神のような白い薄絹の衣をまとい、近東の女性を連想させる黒髪に、ギリシア彫刻のような巻き毛を垂らしています。下の参考画像に見られるように、額と耳のあたりに古典ギリシア風の巻き毛を垂らすのは、新古典主義の時代、すなわち1800年から1820年代頃のフランス女性が好んだ髪型です。


(下・参考画像) 第一帝政時代に流行したギリシア風の髪型。Friedrich Bury, "die Gräfin Luise von Voss", c. 1810, Schloss Bellevue, Berlin




(下・参考画像) Firmin Massot, "Empresse Josephine de France", c. 1812, Musée national des Châteaux de Malmaison et Bois-Préau, Rueil-Malmaison




 しかしながら、豊かな黒髪に刺した日本のかんざしからは、この作品の制作年代が 19世紀半ば以降であることがうかがえます。ギリシアは近東 (le Proche-Orient)、日本は極東 (l'Extrême-Orient) であって、地理的にも文化的にも大きな隔たりがありますが、19世紀のフランス人から見れば「オリエント」「東洋」という共通点があったのでしょう。このミニアチュールに描かれた女性も、エキゾチックで魅惑的な美を象徴しています。

 細密画の実物において、女性の眼と唇の幅はわずか2ミリメートルですが、全ての部分の形とバランスはよく整い、大型の作品に劣らない丁寧さで描かれています。肌には若々しい透明感があり、愛らしい唇は輝くように艶やかで、ぱっちりと見開いた眼には活き活きとした輝きが宿っています。





 本品は分解検査が困難であったので、細密画の下地の材質をはっきりと確認できていませんが、透明水彩の層を通してうかがえる下地の肌理(きめ)、及び楕円形画面からわずかに覗く作品の下端部から判断すると、象牙の薄片に描かれているようです。17世紀から19世紀にかけてのフランスでは、厚さ1ミリメートル以下に削った象牙が画材店で売られており、これを紙で補強して、細密肖像画を描くことがよく行われていました。

 本品は肉筆画ですので、同じ物が制作されていないという稀少性があるうえに、同時代の類品に比べてたいへん丁寧に、且つ活き活きと描かれています。保存状態も極めて良好で、百年以上前のフランスで描かれた真正のアンティーク絵画にもかかわらず、まったく傷みがありません。私は厳選に厳選を重ねて仕入れを掛けるので、比較の対象となる「悪い見本」が無いのですが、本品はこのころフランスで制作された他のミニアチュールと比べても出色の出来栄えであり、末永くご満足いただけます。どうぞ安心してご購入ください。





42,800円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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