真鍮の枠にガラスを嵌め込んだ小さな額あるいは写真立て。十九世紀中頃または後半のフランスで制作されたアンティーク品です。
額の枠は正方形の断面を有する太い真鍮線を捩じり、リズミカルで美しいパターンを作っています。五輪の三色菫と五枚の葡萄の葉が、額の枠に交互に取り付けられています。三色菫と葡萄の葉は丁寧な手作業で彩られています。半ば剥落した絵具が、アンティーク品ならではの趣を醸しています。
本品の脚は額縁上部に取り付けられています。脚は蝶番(ちょうつがい)式に展開するようになっており、五センチメートルほど後方まで展開させると、適正な傾きで額を自立させることができます。
額縁の左右と下部の合計三か所に、真鍮の爪が溶接されています。この爪を折り曲げることで、ガラスを留めています。ガラスはヴェール・フロテ(verre
flotté)すなわちフロート法による近年の板ガラスで、サイズは縦五十七ミリメートル、横四十ミリメートルです。
ガラスはごく単純な仕組みで留められていますが、斜めになっても爪の間を抜けることはできず、常に安全に保持されています。本品のガラスが脱落することは決して無く、安心してお使いいただけます。
上の写真は本品をさまざまな角度から撮影した合成写真です。商品の点数は一点です。
上の写真は本品の使用例です。使用例で飾られているのは十九世紀の石版画で、リヨンのラ・バジリク・ノートル=ダム・ド・フルヴィエールに安置される聖母子像を描いています。リヨンの聖母の石版画は、ご希望により本品に無料でお付けいたします。
上の写真は本品を男性店主の手に乗せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真よりもひと回り大きなサイズに感じられます。
本品は今から百数十年以上前、十九世紀中頃または後半のフランスで制作された品物ですが、古い年代にもかかわらず、実用上の問題は何もありません。幾星霜を経て獲得された真鍮の古色と絵具の剥落は、人が作って時が仕上げたアンティークならではの美です。年月を纏(まと)いつつも親しみの持てる小さな美術品となっています。