ロシアで製作される数々の工芸品のなかでも最も美しいもののひとつに、漆塗りの小箱があります。パピエ・マッシュ(紙を幾重にも重ねた素材)に漆を塗り、手作業で細密画を描き込んでゆきます。
ロシアの漆塗り工芸は帝政時代から存在していましたが、現在ではフェドスキノ、パレフ、ムステラ、ホルイの四箇所で制作されています。パレフ、ムステラ、ホルイでは卵白に絵の具を溶かすテンペラ画が製作され、民話などのモチーフに適した明るい色調の作品となります。これに対してフェドスキノでは油彩が使用され、落ち着いた色調の優雅でクラシカルな写実的作品が生まれます。
四箇所の村のうち最も古い技術が継承されているのはフェドスキノです。18世紀終りにモスクワの商人P. コロボフが漆塗り工芸の工房をつくり、19世紀に入ってこれを継承した娘婿のP.
ルクーチンとその息子アレクサンデルの時代に最盛期を迎えました。彼らの工房は1904年に閉鎖されましたが、その後になってルクーチン工房の職人たちがフェドスキノに職人組合をつくったのが、現在の漆塗り工芸のはじまりです。フェドスキノ漆工芸の初期には彩色エングレーヴィングが使われていましたが、後にはイタリア、オランダの風景画や中国の風俗画、さらにロシアの主題が描かれるようになりました。
フェドスキノで制作る細密画には三層ないし四層、最大で六層の油彩と、七層の漆が使われます。一部分を油彩で描いては漆を塗って磨き、次の部分を油彩で描いては再び漆を塗って磨く、という作業を繰り返すのです。このように幾層にも重ね塗りすることにより、絵の色彩に深い輝きが生まれるとともに、日常使用に耐える丈夫な工芸品が生まれます。
ここにご紹介する小箱は1940年頃にフェドスキノで製作されたもので、テネシー州の裕福な美術工芸品コレクターが大切に所蔵していました。このように古い年代の漆塗り小箱は非常に手に入りにくく、たいへん貴重な品となっています。
冬、教会 縦 135 x 横 90 mm 深さ(高さ) 45 mm
バレリーナ 縦 155 x 横 110 mm 深さ(高さ) 50 mm
カール・パヴロヴィチ・ブリューロフの原画に基づく作品 「トゥルチャンカ」 Турчанка 115 x 115 mm 深さ(高さ) 55 mm
小鳥と花々 直径 60 mm 深さ(高さ) 15 mm 販売終了 SOLD
花 直径 50 mm 深さ(高さ) 25 mm
初秋 小川の風景 直径 60 mm 深さ(高さ) 15 mm 販売終了 SOLD
ザゴルスク、ラヴラ(大修道院) Троице-Сергиева Лавра, Загорск The Trinity-St. Sergiy
Monastery, Zagorsk 310 x 210 mm 深さ(高さ) 60 mm
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