稀少品 スティール・エングレーヴィング 「ロンドン港」
The Port of
London
原画の作者 W. H. バートレット (William Henry Bartlett, 1809 - 1854)
画面サイズ 縦 121 mm 横 175 mm
イギリス 1840年代
≪原画の作者について≫
ウィリアム・ヘンリー・バートレット(William Henry Bartlett, 1809 - 1854)は非常に優れた数々のデッサンで知られるイギリスの画家です。類稀な行動力の旅行家でもあり、ヨーロッパ、近東、北アメリカの各地を広く旅して多数の美しい作品を残しています。
当時一般人が旅行に行くことは簡単でなかったので、家庭にいながら旅を楽しむ手段として、各地の風景や自然、文化を美しい図版で紹介したトポグラフィカル・ブックス(topographical
books)と呼ばれる旅行書が出版されていました。バートレットの精緻な素描作品はエングレーヴィングになってバートレット自身や他の著者たちによる数々の多くの旅行書を飾り、その美しさで当時の人々を驚嘆させました。
≪この版画のテーマについて≫
ロンドン港はテムズ河口にあります。とくにロンドン橋から下流のデプトフォードまでの約6キロはザ・プール(the
Pool of
London)といって、外航船はここまで遡上することができます。
絵の左手に見える白い大きな建物はロンドン税関で、エリザベス1世が即位した翌年の1559年に最初に建設されましたが、1666年のロンドンの大火をはじめ火災による焼失と再建を繰り返し、現在の建物は1817年に建設された4代目にあたります。税関の右側に見えるのがロンドン・ドックで、タバコの葉のための広大な倉庫が14棟立ち並び、大樽22,000本分のワインを貯蔵できるセラーがありました。さらにその右側はセント・キャサリン・ドックで、聖キャサリン教会の教区2000世帯が立ち退いて、1830年代に建設されています。
ロンドン・ドックもセント・キャサリン・ドックもともに当時のロンドン港でもっとも繁華な区域で、おびただしい数の商船が往来し、世界最強の国家である当時の大英帝国の繁栄を見せつけています。
版画を初めて購入される方のために、版画が有する価値を解説いたしました。このリンクをクリックしてお読みください。