ペリグー(Périgueux)は南西フランスのアキテーヌ地方ドルドーニュ県にあり、ローマ以前の時代からペトロコリイ(Petrocorii)と呼ばれるガリア人が住んでいた非常に古い町です。ペリグーという地名はペトロコリウム
Petrocorium に由来します。ペリグー旧市街の東半分、ル・ピュイ・サン・フロン(Le Puy Saint-Front)と呼ばれる地域は、ペリゴール地方の使徒とも言われる初代ペリグー司教聖フロンの遺体を安置した修道院を中心に、5世紀以来発展してきました。
この修道院は1120年に火事で焼け落ち、1125年から1150年にかけて その跡地に建設されたのがペリグー司教座聖堂サン=フロンです。聖堂のプランはギリシア十字型で、5つのドームと多数の小塔を有し、南側には高さ60m近くもあるロマネスク様式の鐘楼と、12世紀から16世紀にかけて建設された回廊があります。
聖堂はもとの巡礼教会を壊して改築したものですが、聖フロンの墓所を祭室とし、その東側に増築する形をとりました。したがって現聖堂の建築当初は、祭室は西側にありました。東側にある祭室は
19世紀の改修で付加されたものです。聖堂内部から天井を見上げると、ドームがペンデンティヴ(穹隅)で支えられている様子が観察できます。聖フロン司教座聖堂をビザンチン建築と呼ぶことはできませんが、ギリシア十字型プランとドーム部分の構造だけがビザンチン様式というこの地方独特の作例となっています。また聖堂の内壁には装飾がまったく無く、建物の美しいフォルムがいっそう強調されています。
ペリグー司教座聖堂サン=フロン
聖堂の平面プラン
聖堂内部