稀少デッド・ストック品 聖テレーズと薔薇 二色のエマイユによるクール パート・ド・ヴェールのビーズ 全長 55センチメートル フランス製ロザリオ 全長 55 cm


ロザリオの全長  55 cm

クルシフィクスを下にしてロザリオを吊り下げたときの、ロザリオ上端からセンター・メダル上端までの長さ  39 cm

クルシフィクスのサイズ  38.4 x 22.3 mm

ビーズの直径  7 mm (概寸)


フランス  1960年代



 1960年代頃のフランスで制作されたシャプレ・ド・ラ・ヴィエルジュ(chapelet de la Vierge 聖母のロザリオ)。青色のガラス・ビーズとガラス・エマイユ、イエロー・ゴールドに輝く金属部分の取り合わせが天上の栄光を象徴するとともに、清らかな華やかさを感じさせてくれる一品です。





 本品のクルシフィクスは、左右対称の幾何学的デザインによるアール・デコ様式のクロスに金めっきを掛けています。別作のコルプス(キリスト像)はクロスに鋲留めされています。

 クロスはシンプルなシルエットで、装飾的なパターンを残して彫りくぼめ、凹んだ部分に彫金が施されています。彫金のパターンはあたかも神の愛が光となって十字架交差部から発出するかのように見えます。クロスのくぼみにフリット(ガラス粉)を置いて焼成することにより、エマイユ・シュル・バス・タイユ、すなわち下地の彫金を見せる半透明ガラスのエマイユとしています。

 エマイユの色はブリュ・ド・シエル(bleu de ciel 天空の青)、すなわちスカイ・ブルーです。スカイ・ブルーは、神のおられる天空の色です。本品のクルシフィクスは、どこまでも透明な空の色を、十字架上に受難し給うキリストの姿に重ね合わせることにより、神ご自身が人となって十字架上に救世を成し遂げ給うたという人知を絶するミステリウムを表現しています。





 フランス語で「クール」(cœur 心臓、ハート)と呼ばれるセンター・メダルは下端に向かって細くなる六角形で、心臓形(ハート形)をアール・デコ風にアレンジしたものであることがわかります。クールの表(おもて裏面にはリジューの聖テレーズの半身像、裏面には一輪の薔薇を浮き彫りにし、いずれもエマイユを掛けています。テレーズ像の面のエマイユは濃淡二色になっています。

 下の写真は実物の面積を80倍に拡大しています。定規のひと目盛は 1ミリメートルです。テレーズの顔は直径 2ミリメートルの範囲に収まりますが、目鼻立ちが見事に整っているばかりか、天に向かう視線によって、ひたすらに神とイエズスのみを想う聖女の精神性までが形象化されています。胸に抱いたクルシフィクスの遠近感や、一枚一枚の薔薇の花弁までが、大型の浮き彫り作品に勝るとも劣らない正確さで再現され、もはや信心具の水準を離れて芸術作品の領域に大きく踏み込んだ小品彫刻となっています。この作品を制作したメダイユ彫刻家の芸術的才能と職人的技量は、真に驚嘆に値します。





 クールの裏面には、非常に写実的で丁寧な浮き彫りにより、一輪の薔薇が表されています。薔薇は本来五枚の花弁を有する花であり、その深紅の色彩によってキリストが受難の際に負い給うた五つの傷を連想させるゆえに、神の愛を象徴します。薔薇は聖母の象徴でもあり、マリアの聖心にもあしらわれます。さらに薔薇はリジューの聖テレーズの象徴でもあります。聖テレーズは生前に奇蹟を起こしたわけではありませんが、イエズス・キリストと隣人への深い愛ゆえにキリスト教徒の範となり、没後短期間で聖人とされました。本品のクールに咲く大輪の薔薇は、神へと向かう聖女の愛の大きさを表しています。

 なおこの面の薔薇はロザリオを手に持つと倒立しますが、これは19世紀から20世紀初頭にかけて制作されたロザリオのクールに見られる特徴です。本品は 20世紀半ばの作例ですが、テレーズ像と薔薇の写実的な表現といい、薔薇の向きといい、たいへんクラシカルな審美眼に基づいて制作されていることがわかります。





 本品のビーズは19世紀に再現されたガラスの技法、「パート・ド・ヴェール」( pâte de verre) で制作されています。パート・ド・ヴェールはそれ自体がたいへん手間のかかる技法ですが、さらに本品では手作業によって十八面のファセット(小さいカット面)が作られています。このファセットは型に流し込んで作ったのではなく、ひとつひとつのビーズを研磨したものです。ビーズの直径は 7ミリメートルほどで、それぞれのファセットはシャトヤンシー(キヤッツ・アイ効果)を思わせる柔らかな光の線を描き出します。





 リジューの聖テレーズ (Sainte Thérèse de Lisieux, 1873.1.2 - 1897.9.30) は、無原罪の御宿り(聖母マリア)、ジャンヌ・ダルクとならんでフランスの守護聖人とされています。第二次世界大戦の傷から本格的に立ち直り始めたフランスで制作された本品には、このうえもなく優しい聖母マリアと、「幼きイエズス」「聖顔」の小さき花に執り成しを願う真摯な気持ちが籠められています。





 本品はおよそ50年前に制作された真正のヴィンテージ品ですが、未販売の状態で残っていたために、新品そのままの保存状態です。クールにみられる細密なメダイユ彫刻と、クロスに施されたエマイユ・シャンルヴェ、フランスの守護聖人である聖テレーズ像、フランスの第一の守護聖人である無原罪の御宿り(聖母マリア)及びフランスそのものを象徴する青色が響き合い、いかにもフランスのロザリオらしい美麗な作例となっています。





本体価格 25,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




聖母のロザリオ(5連) 20世紀中頃までのもの 未販売商品の商品種別表示インデックスに戻る

聖母のロザリオとシャプレ 一覧表示インデックスに戻る


聖母のロザリオ(5連) 商品種別表示インデックスに移動する

聖母のロザリオとシャプレ 商品種別表示インデックスに移動する


ロザリオとシャプレ 商品種別表示インデックスに移動する


キリスト教関連品 商品種別表示インデックスに移動する



アンティークアナスタシア ウェブサイトのトップページに移動する




Ἀναστασία ἡ Οὐτοπία τῶν αἰλούρων ANASTASIA KOBENSIS, ANTIQUARUM RERUM LOCUS NON INVENIENDUS