薔薇のクルシフィクス 角と木のビーズ 八枚の小メダイユ ノートル=ダム・ド・ルルドの美麗アンティーク・ロザリオ 全長 46 cm


全長 46 cm

クルシフィクスを下にしてロザリオを吊り下げたときの、ロザリオ上端からセンター・メダル上端までの長さ  28.5 cm


角製ビーズ(主の祈りと栄唱のビーズ)の直径 約 6 mm

木製ビーズ(天使祝詞のビーズ)の直径 約 4 mm


クルシフィクスのサイズ 39.0 x 22.9 mm (上部の環を含む)

クール(センター・メダル)の直径 約 8 mm (突出部分を除く)

六枚の小メダイユの直径 約 6 mm (突出部分を除く)

後付けされたルルドの小メダイユのサイズ 11.5 x 7.0 mm (突出部分を含む)


フランス  1900 - 1910年頃



 およそ百年前のフランスで制作されたシャプレ・ド・ラ・ヴィエルジュ(聖母のロザリオ)。小さめのビーズを使用した華奢な品物で、ところどころに取り付けられた八枚の小メダイユが特徴です。金属部分の材質はブロンズに銀めっき、ビーズの材質は59個のうち6個が角または骨、53個が木でできています。





 クルシフィクスは別作のコルプス(キリスト像)を十字架に溶接しています。十字架は単純なシルエットのラテン十字ですが、鋳造によって薔薇を造形しています。

 クロスやメダイの製法には打刻と鋳造があります。19世紀のクロスやメダイは打刻によって制作されている場合がほとんどで、浮き彫りはごく浅い凹凸によりますが、1900年頃からは鋳造による作例が増え、格段に立体的な浮き彫り作品が制作されるようになります。このロザリオに使われているクロスとメダイもすべて鋳造によって制作され、小さなサイズながら豊かな立体性を有します。





 本品のクロスに造形されている薔薇は八重咲きですが、薔薇は本来五枚の花弁を有する花であり、深紅の花弁がキリストの五つの傷を想起させるゆえに、キリスト受難の象徴、ひいては人智を超えた神の愛の象徴とされます。本品のクロスに彫られた薔薇も、緻密で立体性に富む造形が浮き彫り工芸として美しいだけでなく、コルプスと重なり合うことによって、キリストが十字架に架かり給うたのは他ならぬ愛の故であることを、観る者に強く訴えかけています。また木とイエズスを重ねた描写は、「エッサイの樹」(l'arbre de Jessé) を思い起こさせる図像でもあります。





 フランス語でクール(cœur 「心臓」)と呼ばれるセンター・メダル(下の写真の「3」)は、ノートル=ダム・ド・ルルド(Notre-Dame de Lourdes ルルドの聖母)の横顔を表(おもて)面に、マサビエルの岩場における出現の場面を裏面に、それぞれ浮き彫りにしています。

 クール表(おもて)面の聖母は伏し目がちに物思いに耽っています。天使ガブリエルから受胎を告知され、戸惑いながらも自らを神に委ねる少女マリアの姿には、深い精神性が感じられます。

 クール裏面に表されたルルドの聖母は、胸の前に両手を合わせ、天を見上げるように顔を上げています。これは1858年3月25日、16回目の出現の際にベルナデットに4度続けて名を問われ、「わたしは無原罪の御宿りです」と答えたときの聖母の姿です。ベルナデットはヴェールを被り、右手にシエルジュ(大ろうそく)を持って跪いています。







 本品にはもう一枚、ノートル=ダム・ド・ルルドのメダイが後付けされています。(上の写真の「8」) 本品のクールをはじめ、ルルドのメダイにおける聖母の横顔は、うつむき加減に目を閉じている場合が多いのですが、このメダイの表(おもて)面では、柔和な表情の聖母が顔を斜め上に上げてかすかなほほえみを見せ、優しい横顔を見せています。柔らかな金色の光が、聖母の微笑みを包んでいます。

 裏面の浮き彫りはルルドにおける聖母出現の場面で、聖母は右腕にロザリオを掛けて茨の繁みに立っています。1853年 3月25日、16回目の出現の際、少女ベルナデットが4回目繰り返して聖母に名前を問うと、聖母は目を天に向け、両手を胸の前で組んで、「わたしは無原罪の御宿りです」(Je suis l'Immaculée Conception.) と答えました。ベルナデットはヴェールを被り、ろうそくとロザリオを持ち、跪いて聖母を見上げています。ベルナデットの傍らには、聖母に初めて会った日に集めていた薪の束と、そろえて脱いだ靴が置かれています。





 本品にはこれ以外に六枚の小メダイが取り付けられています。小メダイのサイズは直径約6ミリメートルで、裏面には聖母の象徴である百合が刻まれています。小メダイの表(おもて)面の図柄は次の通りです。

1 .. 聖クリストファー
2 カルロ・ドルチによる悲しみの聖母「マドンナ・デル・ディット」
3 (センター・メダル 「ルルドの聖母」)
4 善き勧めの聖母
5 パドヴァの聖アントニウス
6 聖ヨセフ
7 ルルドの聖母
8 (後付けのメダイ 「ルルドの聖母」)






 本品は主の祈りと栄唱に角あるいは骨製のビーズ、天使祝詞に木製のビーズを採用しています。角あるいは骨製のビーズは直径約 6ミリメートルの球形で、同心円状の装飾的な模様が刻まれています。黒い染色はほとんど剥げ落ちて、同心円の溝だけに残っています。木製のビーズは短径約 4ミリメートルの細長い形で、黒く塗られています。一見したところでは気付きませんが、第一玄義の最初だけに球形の珠が使われています。これは元の珠が破損したために、ほぼ同サイズの木製ビーズと置き換えられているせいです。大切に使われてきた信心具は、このように補修されていることがよくあります。人間が一生のうちに怪我をしたり病気になったりして治療を受けるのと同じことです。

 本品はおよそ百年前のフランスで製作された真正のアンティーク品ですが、古い年代にもかかわらずたいへん良好な保存状態です。特筆すべき問題はありません。





本体価格 21,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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