「めでたし、聖寵充ち満てるマリア」 神の愛のロザリオ 純白のマザー・オヴ・パールによるフランス製 全長 53.5 cm


ロザリオの全長  53.5 cm

クルシフィクスを下にしてロザリオを吊り下げたときの、ロザリオ上端からセンター・メダル上端までの長さ  37 cm

クルシフィクスのサイズ  46.4 x 23.8 mm  最大の厚み 6.6 mm

ビーズの直径  7 mm (概寸)


フランス  20世紀中頃



 1950年代頃のフランスで制作されたシャプレ・ド・ラ・ヴィエルジュ(chapelet de la Vierge 聖母のロザリオ)。柔らかい光を放つ純白のマザー・オヴ・パールが、清らかな聖母の愛を象徴します。





 本品のクルシフィクスは、円形の断面を持つシンプルなラテン十字を真珠母(しんじゅも マザー・オヴ・パール)から削り出し、打ち出し細工によるコルプス(キリスト)と "INRI"(Iesus Nazarenus Rex Iudaeorum ラテン語で「ユダヤ人の王、ナザレのイエス」の意)の札を鋲留めしています。

 「真珠母」とは真珠貝の貝殻から削り出した装飾材料のことです。写真では分かりませんが、実物は真珠貝の殻に特有の深い輝きがあって、たいへん美しい素材です。真珠母あるいは真珠貝が生み出す真珠はイエズス・キリストの象徴でもあります。「マタイによる福音書」13章45節から46節に記録されているキリストのたとえ話を新共同訳によって引用します。

  また、天の国は次のようにたとえられる。商人が良い真珠を探している。高価な真珠を一つ見つけると、出かけて行って持ち物をすっかり売り払い、それを買う。

 アレクサンドリアのオリゲネス (Ὠριγένης, c. 184 – c. 253) は、このたとえ話の「真珠」がキリストを意味すると解釈しています(「マタイ福音書注解」 10巻9節)。真珠がキリストであるならば、真珠を生み出す貝、真珠母は、聖母マリアに他なりません。したがって真珠母でできた本品の十字架は、受難のイエズスを抱く聖母マリアの姿に他ならないのです。真珠母の白さはメシア(キリスト)の母となるべく神に選ばれた花嫁、すなわち「恋人よ、あなたはなにもかも美しく、傷(MACULA 汚れ)はひとつもない」(「雅歌」 4章 7節)という「無原罪の御宿り」(IMMACULATA CONCEPTIO) の清浄さを表しています。





 フランス語で「クール」(cœur 心臓、ハート)と呼ばれるセンター・メダルは、歳若いマリアの横顔を表(おもて)面に、聖心を示すキリストの上半身を裏面に、それぞれ浮き彫りにしています。

 クールの表(おもて)面において、ナザレの少女マリアは信仰の象徴であるヴェールを被り、目を閉じて、神との対話に沈潜しています。マリアの前には「アヴェ・マリア」の文字が刻まれています。

 「アヴェ・マリア」(AVE MARIA) は、ギリシア語「カイレ、マリア」(Χαῖρε Μαρία) をラテン語に訳したもので、「喜びなさい、マリアよ」という意味です。「喜びなさい」(Χαῖρε, AVE) は「ルカによる福音書」 1章26節に記録されている天使ガブリエルの言葉で、メシアの誕生を予告しています。

 突然家に入ってきた天使からメシアの受胎を告知されるという異常な出来事に遭遇しながら、マリアがその端正な横顔に何らの動揺も浮かべていないのは、アブラハムやヨブにも勝り、救い主の母となるべく神の眼に適(かな)った深い信仰ゆえです。





 クールの裏面には、表(おもて)面とは別の彫刻家によって、キリストの上半身が浮き彫りにされています。キリストの胸の中央では、上部に十字架を突き立てられ、茨の冠で取り巻かれた巨大な聖心(サクレ・クール 聖なる心臓)が、槍の傷から血を流しつつ、人知を絶するあまりにも強い愛のゆえに炎を噴き上げ、強烈な光輝を放って輝いています。キリストは罪びとの目をじっと見据え、左手で聖心を示しつつ、右手を挙げて祝福の姿勢を執っています。





 上の写真は実物の面積を百倍に拡大しています。定規のひと目盛は 1ミリメートルです。キリストの顔の高さ、手の長さは 2ミリメートル、目鼻口や指はそれよりも小さなサイズですが、人体各部のプロポーションが正確であるのみならず、あくまでも穏やかなキリストの表情を通して、すべてを赦す神の愛が浮き彫り彫刻のうちに形象化されています。このように見事なミニアチュール彫刻を施したクールは、メダイユ芸術が最も発達した国であるフランスのロザリオならではの特徴です。





 本品のビーズはクロスと同様に真珠母でできています。ビーズはすべて同じサイズで、おおよその直径は 7ミリメートルです。ビーズはひとつひとつが丹念に研磨され、サイズも形も良く揃っていますが、すべて手作業で制作されているために、わずかな歪(いびつ)さが残り、丁寧な手仕事の温かみを感じさせます。





 本品は数十年前に制作された真正のヴィンテージ品ですが、古い年代にもかかわらずたいへん良好な保存状態で、十分に実用可能です。クルシフィクスにもビーズにも特筆すべき破損はありません。ビーズはすべて揃っています。チェーンの強度も問題ありません。





本体価格 19,500円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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