ブロンズ製のセンター・メダルとクルシフィクス、及び無色のガラス・ビーズを使用した19世紀フランスのロザリオ。
ブロンズ製クルシフィクスは高さ3センチメートル足らずの小さなサイズで、コルプスとクロスは一体成型されています。クロスは末端に向かって幅広になる装飾的なシルエットで、各末端に球状の飾りが付いています。クロスの裏面にはフランス語で「ノートル=ダム・ド・ルルド(ルルドの聖母)巡礼記念」(Souvenir Notre-Dame de Lourdes) と刻まれています。
センター・メダルは心臓形のシルエットを有しますが、これはキリスト教徒の鑑(かがみ)たる聖母マリアの、神とイエズスに対する熱烈な愛、すなわち聖母の汚れ無き御心を象(かたど)っています。
センター・メダルは「不思議のメダイ」となっています。表(おもて)面には 1830年にパリに出現した無原罪の御宿りの姿を中央に打刻しています。聖母は蛇を踏み付け、球体の上に立っています。両手の指輪からは恩寵の光が降り注いでいます。聖母に執り成しを求める次の祈りを、周囲にフランス語で記しています。
O Marie conçue sans péché, priez pour nous. 罪無くして宿りたまえるマリアよ、われらのために祈りたまえ。
裏面の中央には、Mと十字架を組み合わせたマリアのモノグラムを上部に、聖母の汚れ無き御心とイエズスの聖心を下部に配し、これを十二の星が取り囲んでいます。十二の星は聖母の冠であり、十二使徒の象徴、ひいてはキリスト教会すなわち全キリスト教徒の象徴です。
「ヨハネの黙示録」12:1に出てくる女性は、十二の星の冠をかぶっています。関連テキストを下に示します。
Et signum magnum apparuit in caelo: mulier amicta sole, et luna sub pedibus
eius, et super caput eius corona stellarum duodecim. (Apocalypsis Ioannis,
XII: I)
また、天に大きなしるしが現れた。一人の女が身に太陽をまとい、月を足の下にし、頭には十二の星の冠をかぶっていた。(「ヨハネの黙示録」12:1 新共同訳)
ビーズは無色のガラスで出来ています。ひとつひとつ手作りされているために、形がいびつでサイズも不ぞろいです。
本品は真正のアンティーク品であるにもかかわらず、優れて良好なコンディションです。特筆すべき問題はありません。