徳の教師イエズスに栄えあれ! 100日間の贖宥のカード

クロモリトグラフ(多色刷り石版画)  90 x 54 mm

19世紀末から 20世紀初頭 オランダ



カードの表(おもて)面にはクロモリトグラフによって、なんとものどかで可愛らしい絵が描かれています。


ピンクの衣の幼子イエズスと青い衣の天使がベンチに座り、大きな本を広げています。

幼子イエズスに天使が何かを教えているように見えます。

イエズスの横には無垢の象徴である白百合が咲き、ふたりの周りには小鳥たちが集まって歌っています。


絵の下にはオランダ語で「徳の教師イエズスに栄えあれ」(Leve Jesus, de Leeraar der deugden!) と書かれています。



キリスト教神学において、天使は最高の能力を有する被造物で、人間よりもはるかに優れた知性を持つ存在です。

肉体と結合されている人間の知性は神を直観できませんが、自存する知性である天使は神を直観します。

天使と人間の知性には天と地の差、たとえていえばノーベル賞級の科学者の知性と、知性認識の枠組みさえできていない新生児の知性ほどの差があります。


イエズス・キリストは全知全能なる神の三位一体における第二のペルソナですから、本来その知性は、当然のことながら、天使よりもさらに優れています。

しかしイエズスは救世のために受肉して、神格のうちに人格を有する神人となられました。

この位格的結合 (UNIO HYPOSTATICA, hypostatic union) のために、受肉したイエズスは普通の人間の幼児と同様に、

知恵においても少しずつ成長されました。(ルカによる福音書 2:52)

幼子イエズスが「授業」を受けて、被造物にすぎない天使から物事を教わるこの絵の情景は、そのことを表しています。


しかしイエズスは神ですから、徳においては、人間よりも優れているのはもちろんのこと、天使よりもさらに優れています。

天使が罪を犯すことはあり得ますが、神自身が罪を犯すことはありえません。


したがってこのカードは、知恵が増し加わって成長する幼子イエズスを描く一方で、

イエズスが神であり、最高の被造物である天使よりもさらに、比較を絶して優れた存在であることを、

絵の下に書き加えた言葉によって表しています。



カードの裏面にはオランダ語で次の言葉が書かれています。


allerbarmhartigste jezus, die de zielen zoo teeder bemint,

ik smeek U door den doodsstryd van uw allerheiligst Hart en door de smarten van uwe onbevlekte Moeder,

reinig in uw Bloed de zondaren der gansche wereld.

Heilig Hart van Jezus, ontferm U onzer.

(100 dagen aflaat)


いとも慈悲深く我らの魂を優しくも愛し給うイエズスよ。

我、いとも聖なる汝の聖心と、罪無くして宿り給える御母により、汝に請い奉る。

汝が血によりて、この世すべての罪びとを清め給え。

イエズスの聖心よ。我らを憐れみ給え。

(100日間の贖宥)


(参考価格 3,800円)


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