「ラ・ボンヌ・メール」(優しい聖母さま)としてマルセイユ市民に親しまれる聖母子像の片面メダイ。裏面は平滑で、浮き彫りもエマイユも施されていません。サイズは大きめで、ガラスによるエマイユと、光沢のある金属部分がキラキラと輝きます。
本品に浮き彫りで表されているのは、マルセイユ南端の丘に建つ聖堂(バジリク・ノートル=ダム=ド=ラ=ガルド)の、鐘楼頂上にそびえる聖母子の巨像です。聖母は戴冠し、左腕に抱いた幼子イエズスこそが救い主キリストであることを人々に示しています。優しい守護の聖母に執り成しを祈る言葉が、あたかも身光のように聖母子を取り囲んでいます。
Notre-Dame de la Garde, priez pour nous. ノートル=ダム・ド・ラ・ガルドよ、我らのために祈り給え。
浮き彫りの上には青色半透明ガラスのエマイユ、その両側には白色不透明ガラスのエマイユを施しています。青と白はいすれも聖母の色です。
青色エマイユが施された部分の形状、及びメダイ全体の形状は、八角形です。キリスト教の象徴体系において、「八」または「八角形」は山上の垂訓(「マタイによる福音書」
5 - 7章)にある「八つの幸福」を意味するとともに、「再生」「新生」を表します。
本品はおよそ五十十年前のフランスで制作されたヴィンテージ品ですが、珍しいことに、制作されたままの状態で保管されていた新品です。色にも形にも深い意味が籠められた美しい品物です。