カタロニアのサラゴサにある聖母マリアの聖地、ヌエストラ=セニョラ・デル・ピラル(柱の聖母)への巡礼のメダイ。材質は真鍮またはブロンズに金めっきを施しています。
直径1センチメートルの小さな円形メダイには、バシリカを背景にしたヌエストラ=セニョラ・デル・ピラルが浮き彫りにされています。聖母は後光と一体化した巨大な冠を頭上に戴き、聖母の左腕に抱かれた幼子イエズスも小さな冠を戴いています。聖母の下半身から柱頭にかけての部分は、ふだん円錐台形のマントに覆われていますが、このメダイでは全身が露出しており、聖母子の全身を目にすることができます。
このメダイは巡礼者が胸ポケットに取り付けられるように、上部にクリップを備えています。クリップ部分では二本の赤い帯が黄色の帯を挟んでいますが、これは「ロヒグアルダ」(rojigualda)
と愛称されるスペイン国旗の配色であり、スペインとスペイン系の諸国民の守護聖女であるヌエストラ=セニョラ・デル・ピラルに、いかにもふさわしいデザインです。
1946年6月24日、教皇ピウス12世により、ヌエストラ=セニョラ・デル・ピラル聖堂は小バシリカとされました。このメダイはその頃から1950年代頃にかけて製作されたものであろうと思われます。数十年前のものであるにもかかわらず、保存状態はたいへん良好で、表面の金めっきもまったく剥がれていません。鋳造当時のままのコンディションです。