「われは無原罪の御宿りなり。われは天の元后なり」 ミニマリスムによる聖母のメダイ 36.3 x 23.3 mm


フランス  1960年代



 モダンなデザインが稀少な無原罪の御宿りのメダイ。単純化されたフォルムでメダイの中心に表された聖母マリアの汚れ無き御心から、恩寵の光が発出しているさまは、聖母マリアこそが祝福の器 (vase de benediction) であることを表しています。裏面には次の言葉がフランス語で記されています。

  Je suis la Reine des Cieux.  われは天の元后なり。

  Je suis l'Immaculée Conception.  われは無原罪の御宿りなり。






 通常のメダイに見られる凝った装飾や人物像を徹底的に排して、すべてを単純な線に還元したデザインは、1960年代を特徴付けるミニマリズムそのものです。

 ミニマリズムはドナルド・ジャッド (Donald Clarence Judd, 1928 - 1994)、ロバート・モリス(Robert Morris, 1931 - ) らに代表される芸術運動で、その思想はバウハウスの流れを汲む建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デア・ローエ (Ludwig Mies van der Rohe, 1886 - 1969) の「レス・イズ・モア」("Less is more." 「最小限に切り詰めた表現によって、より豊かな内容をあらわすことができる」との意味)という言葉に集約されています。

 「レス・イズ・モア」という一見奇を衒(てら)ったレトリックは、論理学の言葉に直せば「内包が少なければ外延が大きい」という当たり前のことを言っているのであって、パラドックスと言い切ることもできません。ただ思弁の世界では当たり前であったことを、美術や産業デザインにおいて初めて具象化したことが、ミニマリズムの功績、レゾン・デートルであったといえましょう。

 ミニマリズムのデザインによるこのメダイと、伝統的デザインによる無原罪の御宿りのメダイの間の違いは、ル・コルビュジエ (Le Corbusier, 1887 - 1965) のロンシャン礼拝堂と、ロマネスクからバロックに至る各様式の聖堂の間に見られる違いと同質のものです。ロンシャン礼拝堂が豊穣なる単純さとも呼ぶべきフォルムの美を追求するのに対し、中世以来の伝統建築たる諸聖堂は、「目で見る聖書・聖人伝」であるステンドグラスや天井画、壁画、聖像で埋め尽くされています。


 Le Corbusier, La chapelle Notre-Dame-du-Haut, 1954, Ronchamp

 La Cathédrale Saint-Étienne de Bourges, XIIe - XIIIe siècles 当店の商品


 本品は数十年前のフランスで制作された真正のヴィンテージ品ですが、古い年代にもかかわらず、保存状態は極めて良好です。特筆すべき問題は何もありません。





本体価格 9,500円 販売終了 SOLD

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