小さな美術品 厚い金張りの華やかな輝き レオナール・アドルフ・リヴェ作 《受胎告知 直径 20.5 mm》 コミュニオン・ソラネルの美麗メダイユ フランス 1928年


突出部分を除く直径 20.5 mm



 少女マリアの横顔を浮き彫りにしたフランスのメダイ。初聖体またはコミュニオン・ソラネルを受ける少女のために、フランスで制作された作品です。材質は厚い金張りです。





 一方の面には章のマリアの横顔が浮き彫りにされています。

 カトリック文化圏の諸国において、教会のミサに与かることは、社会を構成する一人前の人間であることの証しです。ミサの与かるとは聖体を拝領することですが、聖体は単なる象徴ではなく、文字通りキリストの御体であって、軽々しく拝領できるものではありません。それゆえ子供は知力と判断力が備わる年齢になり、教理問答を学んで聖体をいただくことの意味を理解できるようになるまで、聖体拝領に参加させてもらえません。逆に言えば聖体を拝領させてもらえるとは、一人前の人間として社会から認められることを意味します。したがって子供が初めて聖体を拝領する行事は重要な通過儀礼であり、わが国でいえば元服、裳着、成人式に相当します。

 近世以前は初聖体の年齢がはっきりと決まっていませんでしたが、十九世紀には十四歳か十五歳で行われることが多くなり、次いで十二歳にほぼ固定されました。1910年以降、初聖体の年齢はさらに早められて七歳となりましたが、フランスでは教区において集団で行われる通過儀礼、コミュニオン・ソラネル(盛式聖体拝領)として、十二歳の聖体拝領が残りました。





 本品は受胎を告知される少女マリアの姿を浮き彫りにしています。フランスの少女たちはキリストの花嫁として、ローブ・ド・マリエ(ウェディング・ドレス)姿でコミュニオン・ソラネルに参加します。神の花嫁に選ばれて受胎を告知されるマリアも、花嫁のヴェールを被っています。

 一人前とみなされる年齢は昔の我が国でも早く、平安時代の貴族女性は十二歳から十四歳で裳着を行いました。新約聖書時代のユダヤ人も十二、三歳で成人を迎えました。男性は家族を支えないといけないので、実際の結婚は成人の数年後でしたが、女性はほとんどの場合、成人後間を置かずに結婚していました。受胎を告知される少女マリアの年齢に関して「ルカによる福音書」は何も語っていませんが、聖書学者は歴史学的データに基づき、このときのマリアの年齢を十代前半から十代半ばと考えています。

 したがって本品の聖母は、コミュニオン・ソラネルを受ける子供たちと同年代の少女の姿で浮き彫りにされています。受胎告知を受け容れるとは救い主を受け容れることであり、これは聖体を拝領することと同義です。受胎を告知される少女マリアの横顔は、コミュニオン・ソラネルを拝領するフランスの少女と重なります。


 マリアの左肩の少し上に、レオナール・アドルフ・リヴェ(Léonard Adolphe Rivet, 1855 - 1925)のサインがあります。レオナール・アドルフ・プリヴェは丸彫り彫刻とメダイユ彫刻のいずれにも秀でたフランスの芸術家で、各地の美術館や墓碑彫刻に作品を遺しています。





 もう一方の面は薔薇の花環に囲まれて、少女のイニシアルであるア・デまたはデ・ア(AD, DA)の組み合わせ文字と 1928の年号が、いずれも流麗な事態で手彫りされています。

 古典古代の異教時代、薔薇は性愛の女神アフロディーテーの花でしたが、中世にキリスト教敵カリタース(羅 CARITAS)の意味が賦与されました。さらにの無い薔薇はロサ・ミスティカ(羅 ROSA MYSTICA)すなわち聖母の象徴として無原罪の御宿りを表すようになりました。聖母が原罪を持たないのは、救い主の母として特別な救いに与かったためと考えられています。すなわち聖母の無原罪性はキリストを受け容れるためであって、それゆえにロサ・ミスティカを思い起こさせる薔薇の花環は、キリストの御体(聖体)を受け容れるコミュニオン・ソラネルの少女が身に着けるメダイにふさわしい意匠といえます。





 薔薇の花環はロザリオそのものでもあります。ロザリオの歴史において百五十回の短い祈りが唱えられ始めたのは十世紀、天使祝詞が成立したのは十五世紀、三つの玄義が成立したのは十六世紀、これに四つ目の玄義が加わったのが二十一世紀(2002年)です。クリュニー会で十世紀に唱えられ始めた一日百五十回の主祈文は、シトー会において十三世紀末までに百五十回の天使の挨拶(天使祝詞の前半)に置き換わりました。この百五十回を数える信心具として数珠(ロザリオ)が考案されたのも、十三世紀のことです。

 本品メダイは二十世紀の品物ですが、ロザリオに関連付けて言えば、裏面の薔薇文は七百年の歴史を継承しています。さらに聖母と薔薇に関していえば、五世紀のラテン詩人セドゥーリウス (Cœlius/Cælius Sedulius, 5th century) は、よく知られた作品「カルメン・パスカーレ」("CARMEN PASCHALE" 「復活祭の歌」)第二巻で人祖の妻エヴァと聖母マリアを対比し、聖母を薔薇に喩えています。したがって本品メダイの薔薇文は、五世紀から二十世紀に至る千五百年の歴史を引き継いでいます。





 上の写真は本品を男性店主の手に載せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真で見るよりもひと回り大きく感じられます。





 本品が制作された 1920年代のフランス社会は未だ現代のように世俗化せず、カトリック色が色濃く残っていました。そのような時代のフランスでコミュニオン・ソラネルのために制作された本品は、人生の重要な通過儀礼にふさわしい高級感を備えます。本品はペンダントとして大きすぎず、小さすぎず、金張りの輝きにも華やぎがあって、時と場を問わずご愛用いただけるメダイに仕上がっています。





本体価格 8,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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