美しき聖母のミニアチュール彫刻 小さな薔薇の「不思議のメダイ」 12 x 12ミリメートル


突出部分を含むサイズ 縦 12 x 横 12 mm



 香(かぐわ)しく咲き誇る大輪の薔薇を、写実的、立体的な浮き彫り彫刻で表したメダイまたはペンダント。





 薔薇は大輪の八重咲きで、花の下に茎と二枚の葉が付いています。環状の突出部分には「フランス」(FRANCE) の文字があります。

 この薔薇はごく小さなサイズですが、作りが立体的であることに加えて、細部まで丁寧に仕上げられているため、指先に載せてじっと見詰めていると、あたかも生花を目前に見るかのような錯覚さえ覚えます。すなわち花弁は一枚一枚について、三次元的な形状や脈管までもが生き生きと再現されています。葉と茎も生きている植物のように写実的です。花の直径は 9ミリメートル、葉の長さは 4ミリメートル、幅は 2ミリメートル、茎の太さは 1ミリメートルしかありませんから、メダイユ彫刻家の優れた技術がよくわかります。





 裏面には球体上に蛇を踏みつけて立つ無原罪の御宿り(聖母マリア)、あるいはバック通りの聖母(不思議のメダイの聖母)の姿が浮き彫りにされています。蛇が人祖アダムの妻エヴァを唆(そそのか)して罪を犯させたことで、その罪(原罪)はエヴァの子孫に受け継がれるようになりました。しかるに聖母はただ一人原罪を受け継がず、蛇の支配を受けません。それゆえ聖母は足元に蛇を踏みつけています、聖母の両手からは地上に向かって恩寵の光が降り注いでいます。聖母に執り成しを願う祈りが、周囲にフランス語で記されています。

  Ô Marie conçue sans péché, priez pour nous qui avons recours à vous.  罪無くして宿りたまえるマリアよ、御身に頼るわれらがために祈りたまえ。


 エヴァは「生命」というその名前にかかわらず、原罪を犯すことにより、人類に死をもたらしました。一方、「新しいエヴァ」なる聖母は、受胎の告知を受け容れて救い主を生むことにより、人類に生命をもたらしました。

 棘だらけの藪から伸びた薔薇の花芽は、美しく香(かぐわ)しい無傷の花を咲かせます。エヴァと同じく女性でありながら罪の無いマリアは、棘だらけの藪から咲き出でる無傷の薔薇に似ています。それゆえ薔薇は「無原罪の御宿り」(マリア)の象徴です。このメダイにおいて、薔薇と「無原罪の御宿り」像が表裏一体を為すのは、このような理由によります。





 本品裏面の浮き彫りは、直径 8ミリメートルという極小サイズの円形を為しています。上の写真は実物の面積を 170倍に拡大しています。定規のひと目盛は 1ミリメートルです。聖母の顔や手のサイズは 1ミリメートルに満ちませんが、いずれも大型の作品に劣らず美しく整っています。聖母の胸や腹部、膝を曲げて前に出した右脚の太ももは、いずれも女性らしい丸みを帯び、衣の襞はごく自然に流れています。球体上の蛇は最後の抵抗を試みてのたうっていますが、いまや苦しげに口を開け、舌を出しています。





 本品は小さなサイズにもかかわらず、大型のメダイに勝るとも劣らない優れたできばえです。このように小さなメダイを大型の作品と同様の美しさ、丁寧さで制作するには、非常に高度な技術が必要です。一見したところ可愛らしいペンダントにしか見えない本品ですが、薔薇の意匠には古典古代以来の象徴的図像の歴史、聖母の意匠には古代以来のキリスト教史、浮き彫りの技術にはルネサンス以来のメダイユ彫刻史が、その裏付けとして存在しています。フランスでは19世紀後半から20世紀初頭にかけてメダイユ芸術が頂点に達しましたが、本品のように繊細な浮き彫り彫刻は、この時代以降のフランスでのみ生まれ得たものです。

 本品はおよそ70年ないし80年前のフランスで制作された真正のヴィンテージ品ですが、いずれの面も全く磨滅しておらず、制作当時のままの優れた保存状態です。特筆すべき問題は何もありません。





本体価格 11,500円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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