アール・ヌーヴォー式のフレームでルルドの聖母の横顔を囲んだ優美なメダイ。クローバーの形にターコイズ・ブルー(トルコ石のブルー)のエナメルが施され、アール・ヌーヴォーの優美さに彩を添えています。
メダイの表(おもて)面は物思いにふける聖母の横顔を浮き彫りにしています。四輪の薔薇が聖母を取り囲んでいます。薔薇はもともと5枚の花弁を持つゆえに、受難の際にキリストが受けた五つの傷の象徴とされます。このメダイの聖母が悲しげに見えるのは、したがって、偶然ではありません。ぱっちりと目を見開いた少女のような聖母のメダイが多いなか、このメダイの聖母には深い精神性が感じられます。
裏面には聖母とベルナデットをあしらいます。聖母は右腕にロザリオを掛け、胸の前に両手を合わせています。ベルナデットはヴェールを被り、右手にロザリオ、左手にろうそくを持って跪いています。
ルルドのメダイのエマイユは大多数が透明なブルーで、不透明なトルコ石色のものは稀少です。またエマイユを施したルルドのメダイにおいて、聖母の横顔はなぜか大多数が左向きですが、このメダイの聖母は右を向いているのも珍しい点です。メダイのコンディションは、磨耗もほとんど無く、たいへん良好です。