小さな高級品 ルルドの聖母 青色ガラスによるエマイユ・シュル・バス・タイユ 透かし細工の銀無垢メダイ 14.6 x 12.2 mm


突出部分を含むサイズ 14.6 x 12.2 mm

フランス  1940年代



 両面の浮き彫り部分に青色ガラスを施し、エマイユ・シュル・バス・タイユとした透かし細工の銀製メダイ。青は聖母マリアを象徴する色(ブリュ・マリアル マリアの青)であるとともに、「カトリックの長姉」たるフランスをも象徴します。800シルバーを示すポワンソン(ホールマーク)と、フランスの銀細工工房のマークが、上部の突出部分に刻印されています。





 中央のメダイは表(おもて)面にルルドの聖母の横顔、裏面に聖母出現の場面を浮き彫りにしています。メダイは指先に載る小さなサイズですが、エマイユ部分は 6.6 x 6.6ミリメートルとさらに小さく、表(おもて)面の聖母の顔は高さ 3ミリメートルしかありません。それにもかかわらず聖母の顔立ちは美しく整っており、彫刻家の優れた技量がうかがえます。





 裏面の浮き彫りはルルドにおける聖母出現の場面を表しています。ベルナデットの証言によると、出現したマリアは十代半ばの少女でしたが、本品に浮き彫りにされたマリアは内面の卓越性を反映し、背の高い成人女性として表されています。少女ベルナデットはヴェールを被り、両手を胸の前に合わせて、マリアの前に跪いています。

 ここに彫られている光景は、1858年3月25日、ルルドにおいてマリアが16回目に出現したときの様子です。この日、ベルナデットから四度繰り返して名を問われたマリアは、胸の前で手を合わせて眼を天に向け、「わたしは無原罪の御宿りです」(Que soy era Immaculada Concepciou. /Je suis l'Immaculée Conception.) と答えました。本品の浮き彫りにおいて、マリアは茨の繁みに傷つくことなく裸足で立っています。これはマリアが原罪に傷つかない「ロサ・ミスティカ」(ROSA MYSTICA ラテン語で「奇しき薔薇」)であることを示しており、「わたしは無原罪の御宿りです」と名乗るマリアにこの上なくふさわしい描写です。





 上の写真に写っている定規のひと目盛は 1ミリメートルです。マリアとベルナデットの顔はいずれも 1ミリメートルの円内に収まりますが、目鼻口がきちんと彫られています。周囲の岩肌のごつごつした様子も写実的に再現されています。





 金属部分は中央のエマイユがかかった部分、周囲の枠とも八角形です。八角形は安定感のある美しい形ですが、キリスト教においては「再生」を象徴する図形でもあります。洗礼の際に全身を水に浸す方法が採られていた古い時代の聖堂建築では、礼拝堂から独立した洗礼堂が設けられていますが、その多くは八角柱の形をしていました。したがって聖母マリアのメダイが八角形に作られる場合、その形は「再生」を表しています。

 「回心」と「再生」はキリスト教における大きなテーマですから、特定の聖人やメダイの制作年代、国や地域に限らず普遍的にみられる形状ですが、19世紀後半から20世紀前半頃のフランスにおいては、特別な意味を有します。この時代のフランスは「悔悛のガリア」として、17世紀以来の不信仰を悔い、信仰において生まれ変わろうとしていました。そのようなフランスにルルドの聖母が現れて祝福を授け給うたことは、信仰深いフランスの人々にとってこの上ない喜びでした。しっかりと目を見開いて前を見つめる若きマリアの横顔に、生まれ変わった「カトリックの長姉」フランスの若々しい姿が重なります。





 メダイの保存状態は良好です。拡大写真ではエマイユ上端に極めて小さな破損が写っていますが、肉眼では識別できず、美観の上でも耐久性の上でも問題はありません。





本体価格 6,300円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




ルルドの聖母 20世紀中頃のメダイ エマイユを施したもの 商品種別表示インデックスに戻る

ルルドの聖母のメダイ 一覧表示インデックスに戻る


ルルドの聖母 全年代のメダイ 商品種別表示インデックスに移動する

各地に出現した聖母のメダイ 商品種別表示インデックスに移動する


聖母マリアのメダイ 商品種別インデックスに移動する

メダイ 商品種別インデックスに移動する


キリスト教関連品 商品種別表示インデックスに移動する



アンティークアナスタシア ウェブサイトのトップページに移動する




Ἀναστασία ἡ Οὐτοπία τῶν αἰλούρων ANASTASIA KOBENSIS, ANTIQUARUM RERUM LOCUS NON INVENIENDUS