線細工による美術工芸 「ルルドの聖母」 驚くべき細密彫刻と、深みのあるエマイユのメダイ フランスならではの作例 直径 17.8 mm


突出部分を除く直径 17.8 mm

フランス  1940 - 50年代



 ルルドの聖母を彫った小メダイに、ブロンズ線細工の外枠を取り付けた美麗なアンティーク品。「ルルドの聖母」のメダイは非常に多くの種類が作られていますが、本品はそのなかでも最も優れた作例であり、優に美術工芸品と呼べる水準に達しています。





 小メダイの一方の面には、ノートル=ダム・ド・ルルド(ルルドの聖母)の横顔を浮き彫りにし、清澄なブリュ・マリアル(bleu marial マリアの青)のガラスによって、エマイユ・シュル・バス=タイユを施しています。マリアのヴェールは信仰と祈りを象徴しています。ブルーのエマイユによって濃淡が強調され、祈る少女の横顔にいっそう深い精神性を与えています。

 小メダイの直径は 10ミリメートル、マリアの顔の高さは 5ミリメートル、目鼻口はそれぞれ 1ミリメートルほどの極小サイズですが、マリアの若々しい顔立ちは美しく整い、神と向き合っても信頼にあふれて物怖じしないその表情には、救い主の母にふさわしい信仰の極みを読み取ることができます。

 少女マリアは、突然為された受胎告知の意味について神に問いかけつつも、神の摂理を信じ、目を開けてしっかりと未来を見据えています。十代半ばという若さにもかかわらず、アブラハムやヨブにも勝る信仰の持ち主であったマリアは、ガブリエルに対して躊躇なく、「お言葉どおり、この身に成りますように」と答えました。カトリック教会がマリアを讃えるのは、受胎の告知を受け容れて人間に救いをもたらしたその信仰ゆえです。





 もう一方の面にマサビエルの岩場における聖母出現の場面を浮き彫りにしています。ベルナデットはヴェールを被って跪き、岩場に出現した少女に名を尋ねています。茨の繁みに裸足で立つマリアは、右腕に十五連のロザリオを掛け、両手を胸の前に合わせて天を仰ぎ、「わたしは無原罪の御宿りです」と答えています。マリアとベルナデデットの間には、泉の水が小さな流れとなっています。ベルナデットの前には薪の束、手前には揃えて脱いだ靴が置かれています。





 聖画やメダイに表される「ノートル=ダム・ド・ルルド」出現の場面は定型化しており、ルルドのメダイの多くに彫られる出現の場面も、一見したところ互いに似通っています。しかしながら本品の浮き彫りは人間業と思えないほど細密なミニアチュール彫刻であり、類品を圧倒しています。

 上の写真は実物の面積を数百倍に拡大しています。定規のひと目盛は 1ミリメートルです。マリアとベルナデットの顔は直径 1ミリメートルに足りませんが、目鼻口が判別できるのみか、視線の向きも分かります。マリアの後光には、「わたしは無原罪の御宿りです」(Je suis l'Immaculée Conception.) というマリアの返答が、高さ 0.2ミリメートルほどの文字で刻まれています。衣の下の姿勢も明らかで、マリアは右足に体重を掛けたコントラポストの姿勢を取っています。ひとつひとつ形が異なる岩は遠近感を以て配置され、岩の間に生える草までが再現されています。





 この円形メダイは、両面からプロング(爪)で挟まれ、視覚的に軽やかな透かし細工の外枠に留められています。外枠はブロンズ製で、吊り輪を含めて十個の部品を手作業で溶接し、金めっきを施しています。植物の巻きひげ形のパーツには、アンティーク・ジュエリーの彫金技法である「ミル打ち」が施されています。





 本品は数十年前のフランスで制作された真正のヴィンテージ品ですが、保存状態は極めて良好です。いずれも天上の栄光を象徴する二色、「青」と「金」が互いを引き立て合い、線細工を透かして見える洋服の色に可憐なアクセントを添えてくれます。





本体価格 18,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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