二色のエマイユによる十字架形メダイ ノートル=ダム・ド・ラ・サレットとロサ・ミスティカ 20.8 x 15.7 mm


突出部分を含むサイズ 縦 20.8 x 横 15.7 mm

フランス   1950年代



 1846年9月19日、フランス南東部、フレンチ・アルプスの高地にある村ラ・サレット(La Salette ローヌ=アルプ地域圏イゼール県)において、二人の牛飼いの子供たちに聖母が出現しました。本品は、いまではルルドの陰に隠れて半ば忘れられているラ・サレットにおける聖母出現をテーマに制作された稀少なメダイです。





 メダイは幅広のラテン十字を九つの面に分割したうえで、それぞれの面を彫りくぼめ、中央交差部とそこから発出する光を水色のガラスで、十字架の縦木と横木を濃い青のガラスで満たして、エマイユ・シャンルヴェあるいはエマイユ・シュル・バス=タイユとしています。青は聖母を象徴する色です。メダイ全体のシルエット、及び画面の分割は、アール・デコ様式に基づく幾何学的な直線デザインによります。メダイの金属部分は銀色の金属光沢を有して良く光ります。


 中央交差部に設けられた直径 9ミリメートル強の円形画面には、ラ・サレットの聖母と、聖母の話を聴くふたりの子供たち、すなわち当時15歳であった牛飼いの少女メラニー・カルヴァと11歳の牛飼いの少年マクシマン・ジロー、及び二人が連れていた子犬が浮き彫りにされています。


 下の写真に写っている定規のひと目盛は 1ミリメートルです。人物の顔は直径 1ミリメートルに満ちません。子供の身長は 4ミリメートル、聖母の身長は 6ミリメートルです。犬は体長と体高が 1ミリメートル、全高が 1.5ミリメートルほどです。遠景には山の中腹に高さ 1ミリメートル弱の教会堂が見えます。このように微小なミニアチュール彫刻を、大型の浮き彫り作品と同様の正確さで制作するメダイユ彫刻家の才能と技量はまさに超人的です。





 縦木と横木の薔薇は八重咲きで、様式化されつつも立体的に彫られています。

 薔薇は、日々休みなく執り成しの祈りを捧げ、人々に警告を与えるために19世紀のフランスに出現した聖母の愛を象徴します。また 5世紀のラテン詩人セドゥーリウスが「カルメン・パスカーレ」("CARMEN PASCHALE" ) で歌ったように、棘のある繁みから生え出でつつも傷つくことなく美しい薔薇の花は、人祖の妻エヴァと同じく女性でありながらも、エヴァの罪に傷つくことがない無原罪の御宿り、すなわちマリアの象徴です。ロレトの連祷において、聖母マリアは「ロサ・ミスティカ」(ROSA MYSTICA) と呼ばれています。「ロサ・ミスティカ」とはラテン語で「神秘の薔薇」、「奇(くす)しき薔薇」という意味です。





 本品は 1950年頃のフランスで制作された真正のヴィンテージ品ですが、古い年代にもかかわらず、たいへん良好なコンディションです。浮き彫り彫刻はガラスに保護されて制作当時の状態のまま保存されています。他のガラス部分、金属部分にも、如何なる問題もありません。

 バック通りの聖母のメダイ(不思議のメダイ)、及びルルドの聖母のメダイにはエマイユを施した作例が豊富ですが、ラ・サレットの聖母はメダイ自体が少ないうえに、エマイユのメダイは非常に稀少です。





 上の写真は本品(左)と「ルルドの聖母のメダイ」を並べて撮影したものです。この二点は材質が少し異なりますが、同一のサイズで、同じメダイユ工房による作品と思われます。この二つをイアリングにしても美しいジュエリーとなります。ピアス式イアリングまたはクリップ式イアリングへの加工は、当店にて承ることが可能です。





本体価格 12,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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