フランス再生の祈り ジャンヌ・ダルクの小さなメダイ 15.2 x 15.2 mm


突出部分を含むサイズ 縦 15.2 x 横 15.2 mm

フランス  1940年代



 金色に輝く八角形の小さなメダイ。 中央の円形部分に、フランスの守護聖人ジャンヌ・ダルクを浮き彫りにしています。第二次世界大戦後の1940年代後半頃に、フランスで制作されたものです。

 キリスト教メダイの魅力の一つは、工芸品、アクセサリーとして美しいだけではなく、一見さりげないデザインにも、千数百年に及ぶヨーロッパの歴史、あるいは三千数百年にも及ぶユダヤ・キリスト教の伝統に基づく意味があること、さらにその伝統が遠い過去に属するのではなく、現代に至るまで連綿と息づいて、メダイのデザインに影響を及ぼし続けていることです。ジャンヌ・ダルクをテーマにしていること、第二次世界大戦の終戦直後という時代に制作されたものであること、ルーブルにあるドミニク・アングルの作品「シャルル7世の戴冠式におけるジャンヌ」に基づき、聖女の胸に剣を描き加えて制作されていることを考え合わせると、八角形に作られたこの小さなメダイの形にも、隠された意味を読みとることができます。




(上) シャルル7世の戴冠式におけるジャンヌ Jean-Auguste-Dominique Ingres, Jeanne d'Arc au Couronnement de Charles VII, 1854, le Louvre, Paris


 第二次世界大戦当時、フランスは国土が戦場となって蹂躙され、兵士と一般市民の両方にきわめて大きな人的被害が出ました。最終的には戦勝国となったフランスでしたが、敗戦国ドイツと同様、物心両面に深い傷を負いました。したがって当時の人々がフランスの守護聖女ジャンヌに求めたのは、なによりもまず戦災からの復興とフランスの再生であったのです。

 旧約聖書の冒頭、「創世記」第一章において、神は六日間で天地を創造し、七日目に休まれました。この故事に基づき、ユダヤ・キリスト教の伝統では「七」が完全数とされます。さらにこれを元にして、キリスト教では、「七」の次の数である「八」を「新しい始まりを象徴する数」と考えました。キリスト教の洗礼は、現在では礼拝堂において行われまが、古い時代の洗礼は、礼拝堂とは別の建物、洗礼堂において、全身を水に浸す方式で行われていました。古代末期、あるいは中世初期に遡る洗礼堂、あるいは洗礼堂の遺構を調べると、八角形のプランに基づいて建てられていたことが分かります。洗礼堂が八角形であったのは、そこが再生の場所であったから、すなわち洗礼によって人が生まれ変わり、新しい人となって永遠の命を授かるからです。





 勝利、あるいは達成された平和を表す絵のなかに剣が描かれる場合、平和のために支払われた代償、及び有事への備えを表します。この小さなメダイには、第二次世界大戦における大きな犠牲を悼み、フランスの再生を願う祈りが込められています。ジャンヌの視線が注がれる先には、神の加護により息を吹き返すガリア(フランス)の姿があります。

 メダイのコンディションはきわめて良好です。古い制作年代にもかかわらず、突出部分を含め、表面の金が剥落した箇所はありません。このメダイは透かし細工になっていますので、ブラウスの上から着けると、布地の色がメダイの一部になり、何通りもの色の組み合わせを楽しむことができます。チョーカーにするのにもちょうど良い大きさです。





本体価格 7,500円 販売終了 SOLD

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