フランス語で「クール」(cœur 「心臓」の意)と呼ばれるロザリオ用センター・メダル。赤色の透明ガラスでエマイユを施した美しい品物です。
表(おもて)面は、放射状に発出する光条と円形の後光を背景に、歳若いマリアの整った横顔を浮き彫りにしています。等質の直線を円と組み合わせた後光の表現、左右対称の多角形による枠のデザインは、いずれもアール・デコ様式の美を踏襲しています。
若きマリアは大天使ガブリエルに受胎を告知された際、「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」(「ルカ」 1:38)と答えました。透明ガラスを通して見えるマリアは、将来の全てを神に委ね、しっかりと眼を見開いて前方を見据えています。
裏面は聖心を示すイエズス・キリストを八角形の画面に浮き彫りにし、赤色ガラスのエマイユを掛けています。聖心は人智を超えたあまりにも強い愛ゆえに光輝を発し、愛の炎を噴き上げて燃えています。イエズスの浮き彫りが四隅を切り落として八角形になっているのは、メダイの形状による空間的要請もさることながら、「八」という数がキリスト教において新生を表し、また山上の垂訓にある八つの幸福を表すゆえです。
本品は1888年以来ロザリオを作り続けているフランスの老舗、アンベール (AMBERT) が製作したもので、未販売のまま残っていたデッド・ストック品(未使用の新品)です。同じ工房で同時期に製作されたクルシフィクス(4,800円 デッド・ストック品)と合わせることができます。未使用の新品ですので、制作当時のままの良好なコンディションです。