稀少品

ジャン=バティスト・エミール・ドロプシ 作 サント・マリ・ド・ラ・メール 海の聖マリアよ、われらのために祈りたまえ ゆりかご用のセルロイド製メダイ


対角線で測ったプラスティック部分のサイズ 97 x 97 mm (金具の突出を除く)

フランス  1920年代後半から1930年代頃



 南フランス、プロヴァンスのカマルグに上陸したと伝えられるふたりのマリア、すなわちマリア・サロメとマリア・ヤコベのゆりかご用メダイ。ゆりかご用メダイの図像は、聖母か天使である場合がほとんどです。聖人ではリジューの聖テレーズが多く見られますが、これはテレーズがフランスの守護聖人のひとりであるゆえ、聖母や天使と同様に、フランスのどの地域でも人気があるからでしょう。プロヴァンスの地方色豊かな「サント・マリ・ド・ラ・メール」(Saintes Maries de la Mer 海の聖マリア)がゆりかご用メダイになるのはきわめて異例です。





 本品は正方形のプラスティック製台座に円形の金属製メダイを嵌め込み、壁のフック等から吊るせるように紐が取り付けられています。台座は縞模様のあるセルロイドでできており、艶やかに磨き上げられています。メダイは銀色のめっきを施したブロンズ製で、軽量の打ち出し細工により浮き彫り彫刻を再現しています。

 メダイの浮き彫りは、天使が漕ぐ舟でプロヴァンスに到着したふたりのマリア(マリア・サロメとマリア・ヤコベ)と、聖女たちを迎える聖マクシマンを描いています。聖マクシマンはマグダラのマリアとともにサン=マクシマン=ラ=サント=ボームのバシリカに墓所がある聖人で、エクサン=プロヴァンスの初代司教とされています。





 聖マクシマンはマグダラのマリア、マリア・サロメ、マリア・ヤコベたちと一緒に舟に乗ってフランスにやって来たとも言われますが、おそらく歴史上実在した人物ではないので、伝承は混乱しています。この浮き彫り作品においては、聖マクシマンはマリアたちよりも先にプロヴァンスに到着しており、カマルグの海岸に裸足で跪(ひざまず)いて聖女たちを迎えています。





 聖マクシマンは聖女たちを崇敬し、また聖女たちをプロヴァンスに送り給うた神に感謝して手を合わせていますが、聖女たちもまた天を仰ぎ、胸の前に手を合わせて、神の守護と導きに感謝の祈りを捧げています。神の守護と恩寵に感謝して祈りを捧げる聖人たちの姿は、若き母が幼子の健康と幸福を願い、メダイをゆりかごの上に掛けて祈る姿と重なります。この群像を取り囲むように、フランス語の祈りが刻まれています。

  Saintes maries de la Mer, priez pour nous.  海の聖マリアよ、われらのために祈りたまえ





 メダイの下端にジャン=バティスト・エミール・ドロプシ (Jean-Baptiste Émile Dropsy, 1848 - 1923) のサイン (E. Dropsy) が刻まれています。ジャン=バティスト・エミール・ドロプシは19世紀後半から20世紀初頭に活躍したフランスのメダイユ彫刻家で、深い精神性を感じさせる美しい女性像で知られています。


(下・参考画像) エミール・ドロプシ作 無原罪の御宿り ブロンズ製の自立式メダイユ 直径 55.0 mm 当店の商品です。




 このゆりかご用メダイは南フランス、プロヴァンスのふたりの聖女「サント・マリ・ド・ラ・メール」(Saintes Maries de la Mer 海の聖マリア)をテーマにした非常に珍しい作例です。エミール・ドロプシの浮き彫りには、幼子の幸せを願う母の祈りが美しく形象化されています。真正のアンティーク品であるにもかかわらず保存状態は良好で、セルロイドの台座、金属製メダイユ、組紐とも、いかなる問題もありません。





本体価格 16,800円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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