未使用品 明け行く薔薇色の空 《幸福に囀(さえず)る小鳥のペンダント 24 x 15 mm》 神の愛に守られる小さな命 革紐付 フランス 現代



 テゼ(Taizé ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ地域圏ソーヌ=エ=ロワール県)はフランス東部の小さな集落で、クリュニーから北におよそ十キロメートル、パレ=ル=モニアルから東北東におよそ五十キロメートルの距離にあります。この村の北半分に広がっているのが、ラ・コミュノテ・ド・テゼ(仏 La Communauté de Taizé テゼ共同体)と呼ばれる修道会あるいは宗教的共同体です。テゼ共同体はエキュメニカルな修道会で、キリスト教のあらゆる教派から年間五万人以上が訪れ、創立以来の訪問者は三百万人を超えます。





 テゼ共同体は修道士が制作する工芸品や絵画、陶器、本、クッキーなどを販売することで維持されています。本品ペンダントもそのような物品のひとつで、鳥を模(かたど)る銅片に不透明色ガラスのフリットを載せ、高温の窯で焼成しています。ペンダントは修道士によりひとつひとつ手作りされています。

 エマイユは両面に分厚く施されています。同色のエマイユは融点も同じであるゆえに両面に施すのが難しいですが、本品はそれぞれの面で異なる色を使用し、両面とも使えるように綺麗に仕上げています。エマイユの胎は銅ですが、表面はガラスですので、金色の環を紐に取り換えるなどすれば、金属アレルギーがある方にも本品は問題なくお使いいただけます。





 「イ・フィオレッティ・ディ・サン・フランチェスコ」(伊 "I fioretti di san Francesco" 「聖フランチェスコの小さき花」)は、十四世紀末まで遡ることが可能な聖人伝です。この本の第十六章には、アッシジの聖フランチェスコが人々に説教をするための旅の途中で、鳥たちにも説教をした時の様子が書かれています。当該箇所の原テキストを、筆者(広川)による和訳を付して示します。原テキストは十四世紀のトスカナ方言です。文意を通じやすくするために補った訳語は、ブラケット [ ] で括って示しました。

     E passando oltre con quello fervore, levò gli occhi, e vide alquanti arbori allato alla via in su’ quali era quasi infinita moltitudine d’uccelli; di che san Francesco si maravigliò e disse a’ compagni: Voi m’aspettarete qui nella via, e io andrò a predicare alle mie sirocchie uccelli. E entrò nel campo, e cominciò a predicare agli uccelli, ch’erano in terra; e subitamente quelli ch’erano in su gli arbori, se ne vennero a lui, e insieme tutti quanti istettono fermi,
    聖人が熱烈な心を抱いて歩きつつ、目を挙げると、道の脇に数本の樹木が見えた。その木々には数えきれないほど多くの小鳥たちが止まっていた。聖フランチェスコは小鳥たちに心を動かされ、連れの者たちに言った。「あなたたちは道で私を待っていなさい。私は行って、わが姉妹である小鳥たちに説教をするから。」そして聖人は野原に入って行き、地上にいる小鳥たちに説教を始めた。すると小鳥たちのうち木に止まっていた者たちも、聖人のところにすぐにやって来、そしてみなが一緒になり、動かずに並んだ。
      mentre che san Francesco compiè di predicare; e poi anche non si partivano, insino a tanto ch’ egli diè loro la benedizione sua. E secondo che recitò poi frate Masseo e frate Iacopo da Massa, andando san Francesco fra loro toccandoli colla cappa, nessuno perciò si movea.    聖フランチェスコが説教を終わった後ですら、聖人から祝福の言葉をもらうまで、小鳥たちは去ろうとしなかった。マッセオ修道士とマッサのヤコポ修道士が後に語ったところでは、聖フランチェスコが小鳥たちの間を歩いているとき、マントが[小鳥たちに]触れたが、だからといって[小鳥たちは]誰も動かなかった。
         
     La sustanza della predica di san Francesco fu questa: Sirocchie mie uccelli, voi siete molto tenute a Dio vostro Creatore, e sempre ed in ogni luogo il dovete laudare, imperocchè v’ha dato libertà di volare in ogni luogo, anche v’ha dato il vestimento duplicato e triplicato,    聖フランチェスコの説教の内容は、次の通りであった。「我が姉妹なる小鳥たちよ。あなたがたは創造主なる神に心から感謝して、いつ、どこでも、神を讃美しなければいけません。それというのも、あらゆるところに飛んで行く自由を、神はあなたがたに与え給うたからです。また二枚、三枚の着物を、神はあなたがたに下さったからです。
     appresso perchè riserbò il seme di voi in nell’arca di Noè, acciocchè la spezie vostra non venisse meno; ancora gli siete tenuti per lo elemento dell’aria che egli ha diputato a voi;    さらに神はノアの箱舟にあなたがたの祖先を乗せ、あなたがたの種類が減らないようにしてくださったのです。またあなたがたは空気という元素にも感謝しなさい。この元素は神があなたがたのために考え出し給うたのです。
     oltre a questo, voi non seminate e non mietete; e Iddio vi pasce, e davvi li fiumi e le fonti per vostro bere; davvi gli monti e le valli per vostro rifugio e gli albori alti per fare li vostri nidi; e conciossiacosachè voi non sappiate filare, nè cucire, Iddio vi veste, voi e’ vostri figliuoli;    これに加えて、あなたがたは種蒔きもせず刈り入れもしない。それでも神はあなたがたに食べさせ、あなたがたが飲むために川や泉を与えて下さいます。あなたがたが隠れる山や谷を下さり、あなたがたが巣を作れるように背の高い木を下さいます。またあなたがたは紡ぐことも縫うこともできないから、神はあなたがたとあなたがたの子供たちに着物を着せてくださいます。
      onde molto vi ama il vostro Creatore, poich’egli vi dà tanti beneficii; e però guardatevi, sirocchie mie, del peccato della ingratitudine, e sempre vi studiate di lodare Iddio.    だから創り主はあなたがたをたくさん愛してくださっているのだ。それゆえ我が姉妹たちよ、注意して、感謝を忘れる罪に陥らないようにしなさい。そして神をいつも讃美するように心がけなさい。」
         
     Dicendo loro san Francesco queste parole, tutti quanti quelli uccelli cominciarono ad aprire i becchi, e distendere i colli, e aprire l’ali, e reverentemente inchinare i capi infino a terra, e con atti e con canti dimostrare che ’l Padre santo dava loro grandissimo diletto: e san Francesco con loro insieme si rallegrava e dilettava, e maravigliavasi molto di tanta moltitudine d’uccelli e della loro bellissima varietà e della loro attenzione e famigliarità per la qual cosa egli in loro divotamente lodava il Creatore.     聖フランチェスコが小鳥たちにこれらの言葉を語るあいだ、この小鳥たちはみな嘴を開[いて啼]き、頸を伸ばし、翼を開き、頭を地面に着くまで恭しく下げはじめた。聖なる師父が彼らに対して非常に大きな喜びを与えたことを、小鳥たちはこうした仕草と囀りによって、示し始めたのである。聖フランチェスコは小鳥たちとともに愉しみ喜んだ。聖人は小鳥たちの数がこれほどまでに多いこと、小鳥たちが持っている多様な[色の]きわめて美しい羽毛、[小鳥たちが説教を聴く]熱心さと親しげな様子に驚いた。そしてこのことゆえに、小鳥たちについて、創造主を心から讃美した。
         
     Finalmente compiuta la predicazione, san Francesco fece loro il segno della croce; e diè loro licenza di partirsi, e allora tutti quelli uccelli si levarono in aria con maravigliosi canti; e poi, secondo la croce ch’avea fatto loro san Francesco, si divisono ’n quattro parti; e l’una parte volò inverso l’Oriente, e l’altra inverso l’Occidente, e l’altra inverso lo Meriggio, la quarta inverso l’Aquilone, e ciascuna schiera n’andava cantando maravigliosi canti;     遂に説教が終ると、聖フランチェスコは小鳥たちに向かって十字を切り、去ってもよいと言った。するとこの小鳥たち全員が驚くべき囀りとともに空中に飛び立った。次いで、聖フランチェスコが切った十字に従い、[小鳥たちは]四つの群に分かれた。すなわちひとつの群れは東に、別の群れは西に、また別の群れは南に、さらに別の群れは北に向かって飛んだ。そして小鳥たちの集団は皆、この上なく美しい歌を囀りながら飛んで行ったのである。





 「イ・フィオレッティ」のこの逸話は、「詩編」第百五十編を想起させます。「詩編」第百五十編を新共同訳によって引用します。

   1.    ハレルヤ。聖所で神を賛美せよ。大空の砦で神を賛美せよ。
   2.    力強い御業のゆえに神を賛美せよ。大きな御力のゆえに神を賛美せよ。
   3.    角笛を吹いて神を賛美せよ。琴と竪琴を奏でて神を賛美せよ。
   4.    太鼓に合わせて踊りながら神を賛美せよ。弦をかき鳴らし笛を吹いて神を賛美せよ。
   5.    シンバルを鳴らし神を賛美せよ。シンバルを響かせて神を賛美せよ。
   6.    息あるものはこぞって主を賛美せよ。ハレルヤ。


 六節から成る第百五十編は、「詩編」全体を結ぶ栄唱となっています。「詩編」はもともと複数の詩集であったものが一つにまとめられており、このうち第百四十六編から第百五十編は第三ハレル集という群に属します。第三ハレル集に属するこれら五編は、ユダヤ人が朝に唱える祈りです。エーオース(希 ἠώς 朝焼け、暁)またはアウローラ(羅 AURORA 暁)を思わせる本品の羽色は、神の愛に包まれて目を覚まし、元気に囀る幸せな小鳥にぴったりです





 もう一方の面は漆黒のガラスで被われた黒い鳥です。黒い鳥にもいろいろな種類がありますが、良い象徴であるのはやはりカラスでしょう。カラスは希望の象徴、鋭い洞察力の象徴、神の愛の象徴、信仰の象徴です。

 「創世記」六章から八章の記述によると、神は堕落した人間を地上から一掃するために洪水を起こすことを決心しましたが、義人ノアには巨大な箱舟を作らせて、ノアとその家族、七つがいずつの清い動物、一つがいずつの清くない動物、七つがいずつの鳥をこれに乗せ給いました。豪雨が四十日間降り続いて地上は深い水に被われ、百五十日のあいだ洪水が続きました。その後ようやく水が減り始め、箱舟は高峰アララト山に止まります。さらに数十日が経った後、ノアは最初にカラスを放ち、次に七日おきに三回にわたってを、箱舟から放しました。二度目に放たれた鳩はオリーヴの若枝を咥えて戻り、三度目に放たれた鳩は箱舟に戻りませんでした。さらに数週間あるいは数か月が経ったとき、神はノアと動物たちに箱舟から出るように命じ、ノアは祭壇を築いて感謝の生贄を捧げました。


 13世紀半ばのモザイク画


 「創世記」八章六節から十二節を新共同訳により引用します。

     神は、ノアと彼と共に箱舟にいたすべての獣とすべての家畜を御心に留め、地の上に風を吹かせられたので、水が減り始めた。また、深淵の源と天の窓が閉じられたので、天からの雨は降りやみ、水は地上からひいて行った。百五十日の後には水が減って、第七の月の十七日に箱舟はアララト山の上に止まった。水はますます減って第十の月になり、第十の月の一日には山々の頂が現れた。四十日たって、ノアは自分が造った箱舟の窓を開き、烏を放した。烏は飛び立ったが、地上の水が乾くのを待って、出たり入ったりした。ノアは鳩を彼のもとから放して、地の面から水がひいたかどうかを確かめようとした。しかし、鳩は止まる所が見つからなかったので、箱舟のノアのもとに帰って来た。水がまだ全地の面を覆っていたからである。ノアは手を差し伸べて鳩を捕らえ、箱舟の自分のもとに戻した。更に七日待って、彼は再び鳩を箱舟から放した。鳩は夕方になってノアのもとに帰って来た。見よ、鳩はくちばしにオリーヴの葉をくわえていた。ノアは水が地上からひいたことを知った。彼は更に七日待って、鳩を放した。鳩はもはやノアのもとに帰って来なかった。





(上) 聖ベネディクトゥス生誕千四百年記念メダイユ 直径 36.0 mm 聖人像の向かて右下にカラスがいます。


 上に引用した「創世記」において、ノアは最初にハトではなくカラスを放っていますが、これはカラスが優れた視力を持つためです。実際、カラスは視力においても知能においても他のほとんどの鳥よりも優れており、鋭い洞察力を象徴する鳥となっています。このような特性ゆえに、カラスは希望を擬人化した図像のアトリビュートになり、さらにはカラス自体が希望の象徴と看做されるようになりました。

 ヌルシアの聖ベネディクトゥスは死にゆく者の守護聖人ですが、聖ベネディクトゥスの様式化された図像には、毒入りパンを聖人の許(もと)から運び去ったカラスが描かれます。この伝説とカラスの図像はこの鳥が有する洞察力を表すとともに、死にゆく者にとっての希望、あるいはプシュコポンポス(希 ψυχοπομπός 魂の導き手)としての役割を表します。カラスはエジプトの隠修士聖パウルス(St. Paul + c. 341)、及び聖パウルスと親交のあった聖アントニウス(St. Antonius, c.  251 - 356)の許に、日々パンを運んできたと伝えられています。




(上) フランスの子供向け小聖画 「カラスのことを考えてみなさい」 当店の販売済み商品


 「ルカによる福音書」十二章二十四節から三十節において、イエスは弟子たちに神の摂理を信頼せよと説いておられます。ネストレ=アーラント二十六版に基づくギリシア語原文、及び新共同訳により、この箇所のテキストを示します。

  24 κατανοήσατε τοὺς κόρακας ὅτι οὐ σπείρουσιν οὐδὲ θερίζουσιν, οἷς οὐκ ἔστιν ταμεῖον οὐδὲ ἀποθήκη, καὶ ὁ θεὸς τρέφει αὐτούς: πόσῳ μᾶλλον ὑμεῖς διαφέρετε τῶν πετεινῶν. ..  烏(カラス)のことを考えてみなさい。種も蒔かず、刈り入れもせず、納屋も倉も持たない。だが、神は烏を養ってくださる。あなたがたは、鳥よりもどれほど価値があることか。
  25 τίς δὲ ἐξ ὑμῶν μεριμνῶν δύναται ἐπὶ τὴν ἡλικίαν αὐτοῦ προσθεῖναι πῆχυν;   あなたがたのうちのだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。
  26 εἰ οὖν οὐδὲ ἐλάχιστον δύνασθε, τί περὶ τῶν λοιπῶν μεριμνᾶτε;   こんなごく小さな事さえできないのに、なぜ、ほかの事まで思い悩むのか。
  27 κατανοήσατε τὰ κρίνα πῶς αὐξάνει: οὐ κοπιᾷ οὐδὲ νήθει: λέγω δὲ ὑμῖν, οὐδὲ Σολομὼν ἐν πάσῃ τῇ δόξῃ αὐτοῦ περιεβάλετο ὡς ἓν τούτων.   野原の花がどのように育つかを考えてみなさい。働きもせず紡ぎもしない。しかし、言っておく。栄華を極めたソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。
  28 εἰ δὲ ἐν ἀγρῷ τὸν χόρτον ὄντα σήμερον καὶ αὔριον εἰς κλίβανον βαλλόμενον ὁ θεὸς οὕτως ἀμφιέζει, πόσῳ μᾶλλον ὑμᾶς, ὀλιγόπιστοι.   今日は野にあって、明日は炉に投げ込まれる草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなたがたにはなおさらのことである。信仰の薄い者たちよ。
  29 καὶ ὑμεῖς μὴ ζητεῖτε τί φάγητε καὶ τί πίητε, καὶ μὴ μετεωρίζεσθε:   あなたがたも、何を食べようか、何を飲もうかと考えてはならない。また、思い悩むな。
  30 ταῦτα γὰρ πάντα τὰ ἔθνη τοῦ κόσμου ἐπιζητοῦσιν: ὑμῶν δὲ ὁ πατὴρ οἶδεν ὅτι χρῄζετε τούτων.   それはみな、世の異邦人が切に求めているものだ。あなたがたの父は、これらのものがあなたがたに必要なことをご存じである。



 この部分において、カラスは野の白百合(希 τὰ κρίνα 二十七節)と同様に、被造物を守り給う神の愛を象徴しています。カラスと白百合は信仰の象徴、すなわち神の節理に対する信頼の象徴でもあります。





 上の写真は本品を男性店主の手に載せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真で見るよりもひと回り大きなサイズに感じられます。







 本品はテゼの修道士による完全な手作り品です。テゼ共同体自身はペンダントの意匠について詳しい説明をしていませんが、古代ユダヤから中世ヨーロッパの聖人伝を経て現代のテゼに引き継がれた象徴性を考えるとき、本品は数千年にわたる思想史と美術史を前提に、二十一世紀に至って産み出された美しい品物であることがわかります。

 本品エマイユの胎(下地となる金属)はおそらく銅ですが、表面はガラスですので、金色の環を革紐などに取り換えれば、金属アレルギー体質の方にも問題なくお使いいただけます。上に示した着用例の写真では金色の環をそのまま使用していますが、モデルはチェーンではなく革紐で本品を着用しています。この革紐は本品に無料で付属します。





本体価格 5,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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