小聖画 「マーテル・エクレシアエ」(教会の御母) 日本画による「十字架の聖母」 北海道月形町 イエズスの聖テレジア修道院 128 x 71 mm


日本  1970年代



 札幌の北東、月形町にあった修道院の小聖画。裏面は白紙です。1970年代に日本で刷られたものですが、何らかの経緯によりフランスで見つかりました。





 聖母はルネサンス期以来の図像学的伝統である白と青の衣の上に、繻子(しゅす)の色留袖を着ています。白い繻子には笹文様が織り出され、裾の笹模様は緋色と笹色に染められています。

 キリスト教の象徴体系において知恵を象徴する「」は、ゴシック期以来、上智の座なる聖母の色です。純潔と無垢を象徴する「白」は、十九世紀以来、無原罪の聖母に頻用される色です。一方、「赤」が象徴する愛と、「」が象徴する生命は、愛ゆえに受難し給い、罪びとに永遠の生命を与え給うイエスにこそ卓越的に当てはまる属性です。それゆえこの聖画において聖母が着ておられる留袖の色は、イエスを抱く聖母自身を象徴していることがわかります。

 聖母に抱かれつつ両腕を水平に広げる幼子の姿勢は、後方に見える十字架と重なっています。聖母は左腕でイエスを支えつつ、右手を胸に当て、目を閉じて祈っておられます。




(上) ノートル=ダム・ド・ラ・クロワ 十字架の聖母のカニヴェ 110 x 72 mm フランス 1870 - 80年代頃 当店の商品です。


 両腕を水平に広げた幼子を抱く聖母は、十九世紀以来たびたび描かれている聖母子像の類型のひとつで、「ノートル=ダム・ド・ラ・クロワ」(仏 Notre-Dame de la Croix 十字架の聖母)と呼ばれています。本品の聖画は聖母子の姿勢と身振りを「ノートル=ダム・ド・ラ・クロワ」として描くとともに、色留袖に使われた三つの色によって、「ノートル=ダム・ド・ラ・クロワ」を象徴しています。





 聖画の画面には、日本語で「教会の御母」、ラテン語で「マーテル・エクレシアエ」(MATER ECCLESIAE 教会の御母)と記されています。画面の左下には「カルメル会 日本、札幌」(Carmel Sapporo, Japan)、「北海道月形」(Tsukigata, Hokkaido)と書かれています。右下に書かれている略語は「図版九 版権所有」(droits de production réservés, numéro 9)の意味でしょう。

 月形町にあったカトリック女子跣足カルメル会「イエズスの聖テレジア修道院」は、1981年、現在の伊達市に移転しました。したがってこの小聖画はそれ以前、おそらく 1970年代頃に刷られたことがわかります。フランスにあったのは、カルメル会のフランス人シスターが月形から故国に持ち帰ったからでしょうか。それとも日本人シスターがこの聖画を持ってフランスに渡ったのでしょうか。





 この聖画には良質な中性紙が使われているため、紙質の劣化は見られません。その他の点でも特筆すべき問題は無く、全体的にたいへん良いコンディションです。聖画は木製の額とすみれ色がかった青のヴェルヴェットを使って額装しています。価格は税込で、聖画、額、布地、工賃のすべてを含みます。





8,800円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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