パリ16区のオートゥイユ職業訓練孤児院が支援者に贈った聖遺物のセット。手帳型の携帯用ルリケールとなっています。
記念品は美しい模様をつけた青い紙の封筒を、手帳のように二つ折りにしています。表(おもて)表紙に当たる部分には、聖母とリジューの聖テレーズの象徴である薔薇の花を描き、次の言葉をフランス語で記しています。
Souvenir reconnaissant des Orphelins Apprentis d'Auteuil オートゥイユ職業訓練孤児院からの感謝記念品
裏表紙に当たる部分には、聖テレーズの言葉がフランス語で引用されています。
Je veux passer mon ciel à faire du bien sur la terre. (Sainte Thérèse) 私は地上に全を為すために、天での時を過ごしましょう。(聖テレーズ)
内側には四か所に窓を開け、左端の窓にダニエル・ブロティエ神父の写真が入れられています。ダニエル・ブロティエ神父 (le père Daniel
Brottier, 1876 - 1936) は 1923年から 1936年まで第五代院長を務め、オートゥイユ職業訓練孤児院の為に力を尽くした人です。1930年には職業訓練孤児院の敷地内に聖テレーズ礼拝堂を完成させています。
右隣の窓には、薔薇の花弁を模(かたど)ったローズ(ピンク)の布と、テレーズの楕円形メダイを重ね、次の言葉をフランス語で記しています。
médaille et pétale bénits ayant touché les reliques de la petite Sainte 小さき聖女の聖遺物に触れて祝福を受けたメダイユと花弁
その隣に収められている布製小袋の中には、テレーズに触れた布が収められています。この聖遺物入り小袋は、リジューのカルメル会修道女が手作りしています。
右端には次の言葉がフランス語で記されています。
Sous la protection de Sainte Thérèse de l'Enfant Jésus et du révérend
Père Brottier 幼きイエスの聖テレーズとブロティエ神父の庇護の下(もと)に。
本品の制作年代は1940年代頃です。およそ70年ほども前に制作された真正のヴィンテージ品ですが、保存状態はきわめて良好で、特筆すべき問題は何もありません。古いルリケールは中身が無事でも外側は傷んでいるのが普通ですが、本品の手帳型封筒は良質の中性紙でできているために、まったく劣化していません。