リジューの聖テレーズ(テレジア)の聖遺物を封入した布製小袋。リジューのカルメル会修道院で、丁寧な手作業により、修道女たちがひとつひとつ制作したものです。二点が写っているように見える商品写真は、同じ物の表裏を写した合成写真です。商品の数は一点です。
小袋の一方の面には中央に跣足カルメル会の紋章を置き、これを囲む楕円の帯に、フランス語で「カルメル会修道院」(Monastère des Carmélites)、「カルヴァドス、リジュー」(Lisieux,
Carvados)と書かれています。北フランスの町リジュー(Lisieux ノルマンディー地域圏カルヴァドス県)は、聖テレーズが属したカルメル会修道院の所在地です。
小袋のもう一方の面には次の言葉をフランス語で記し、銘板を思わせる長方形の枠で囲んでいます。
Étoffe ayant touché à la BIENHEUREUSE THÉRÈSE DE L'ENFANT JÉSUS, Carmel
de Lisieux 福者 幼きイエスのテレジアに触れた布地 リジュー、カルメル会
上は本品を透過光で撮影した写真で、袋に布の小片が入っているのが見えます。テレーズの聖遺物入りの布袋は赤い糸で周囲をかがってあるのが普通ですが、本品は緑の糸を使っています。色の違いに意味があるのかどうかわかりませんが、緑の糸を使ったものは珍しく、筆者(広川)は本品以外に同様の作例を見たことがありません。
上の写真は本品を男性店主の手に乗せて撮影しています。女性が本品の実物をご覧になれば、写真で見るよりもひと回り大きなサイズに感じられます。
本品はテレーズの姉たちをはじめとするリジューのカルメル会修道女たちが制作したものです。リジューのテレーズは1923年4月29日に列福、1925年5月17日に列聖されました。テレーズはすみやかに列聖されたので福者であったのは二年間にすぎず、袋に「福者テレーズ」と書かれた本品はたいへん珍しい品物です。百年近く前のものですが、布に破れはなく、糸も切れておらず、極めて良好な保存状態です。