聖マルグリット=マリの聖遺物に触れた布 聖母訪問会パレ=ル=モニアル修道院
Linge ayant touché aux ossements de Sainte Marguerite-Marie Alacoque
紙包みのサイズ 62 x 25 mm
フランス 1920年代頃
聖心の信心を広めた聖母訪問会の修道女、マルグリット=マリ・アラコック (Ste. Marguerite-Marie Alacoque, 1647 - 1690) の聖遺物。聖女の聖遺物(遺体)に触れさせた布を紙包みに封入し、聖母訪問会パレ=ル=モニアル修道院の紋章を刷った紙片で封緘しています。
紙包みの表(おもて)面には、次の言葉がフランス語で記されています。
Linge ayant touché aux ossements de Sainte Marguerite-Marie Alacoque,
Religieuse de la Visitation de Paray à qui Notre-Seigeur révéla les richesses
et les désirs de son Divin Cœur.
聖マルグリット=マリ・アラコックの聖遺物に触れた布。マルグリット=マリは聖母訪問会パレ=ル=モニアル修道院の修道女である。主は聖心の豊かな恩寵と神意をマルグリット=マリに示し給うた。
紙包みの封印には、マルグリット=マリが所属した女性のための観想修道会、「聖母訪問会」(l'ordre de la Visitation Sainte-Marie)
の紋章が描かれています。
封印に刷られている「聖母訪問会」の紋章は単色ですが、本来は金色の地の中央に赤い心臓を描きます。心臓は黒い十字架を突き立てられ、二本の金の矢に貫かれています。矢羽は銀色です。「イエズス」(IHSOYS)
を表すギリシア文字「イオタ、エータ、シグマ」(IHS)、及び「アウスピケ・マリアエ」(AUSPICE MARIAE ラテン語で「マリアの庇護の下に」)を表すラテン文字「エム、アー」(MA)
が、心臓の上に重ねて書かれます。この図像全体を、茨の冠が取り巻きます。茨は緑ですが、棘は血で赤く染まっています。
本品の封印の紋章は、「パレ=ル=モニアル、聖母訪問会修道院」(MONASTÈRE DE LA VISITATION DE PARAY-LE-MONIAL)
の文字に取り巻かれています。
19世紀のフランスでは、マルグリット=マリの列福を機にキリストの啓示を記した「第98書簡」が公開されたことで、「悔悛のガリア」(Gallia paenitens) の信仰復興運動が起こりました。モンマルトルのサクレ=クール教会をはじめとする第二帝政時代の教会建築、及び美しいアンティーク品として現在まで伝わる信心具の数々は、マルグリット=マリの列福を中心点の一つとして、あたかも水面のさざ波のように、当時のフランス社会に広がっていった信仰深い時代精神の遺産です。
それゆえにマルグリット=マリは、近代フランスにとって最も重要な聖人のひとりといえますが、ほぼ現代に近い時代の人物で、親しみを感じさせる写真も残っており、フランスの守護聖女ともされるリジューの聖テレーズと比べると、マルグリット=マリの聖遺物は格段に入手困難です。
マルグリット=マリは1920年5月13日にベネディクトゥス15世により列聖されました。本品は良好な保存状態のせいで実際の年代よりも新しく見えますが、マルグリット=マリの列聖からあまり時間を置かずに制作された真正のアンティーク品です。
12,800円 販売終了 SOLD
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