10月5日 月曜日

 当店には二十歳のにゃんこがふたりいて、ひとりはありちゃん、もうひとりはちろりんといいます。下の写真ではありちゃんが廊下にいて、お客様がたに可愛がっていただいています。






 ここ数日で、気に入った時計がいくつか売れました。気に入っていない時計は無いのですが、この週末に売れたのは特に気に入っていた時計で、うれしいとともに少し寂しくもあります。

 東洞院六条上ル蓮光寺の負分阿弥陀如来は快慶の作です。伝承によると、快慶は東国の高僧から依頼されてこの像を彫りましたが、会心の出来に手放す気になれず、一年経って高僧が像を引き取りに来ても、まだできていませんと嘘をついて引き渡しませんでした。高僧が二度目に訪ねてきたとき、観念した快慶は前回の嘘の赦しを乞い、像を引き渡しましたが、僧が像を笈に納めて去ったのち、居ても立っても居られずに後を追い、山科で追いついて、阿弥陀如来に最後の別れをさせてくれるように高僧に乞いました。そして笈を開けたところ、不思議なことに像は二体に分身しており、高僧と快慶は一体ずつを背負って東西に分かれたと言われています。

 当店の商品は私の作品ではありませんが、商品が売れる際には、会心の作を手放す芸術家と同様の気持ちを味わいます。私は概ね合理主義者で、無生物に過剰な感情移入をすることはありませんが、アンティーク品には文化財的な側面があるゆえに、貨幣に置き換えられない価値を大切にしていただける方にこそお譲りしたいと常々考えています。そして品物の文化的価値を理解していただける方にお譲りできた際には、アンティーク商として大きな喜びを感じます。


 ここ数か月はいろいろなことが重なって、ウェブサイトの更新がほとんど止まっています。商品の追加など少しずつ再開してゆきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。なおにゃんこスタッフの近況は、インスタグラムでご覧いただけます。




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Ἀναστασία ἡ Οὐτοπία τῶν αἰλούρων ANASTASIA KOBENSIS, ANTIQUARUM RERUM LOCUS NON INVENIENDUS