ステンレス削り出しの精悍な時計 《オルフィナ ゴールデン・フレイム》 金の炎と純白の文字盤 二十五石の最高級ムーヴメント スイス 1970年代


竜頭を除くケースのサイズ  縦 38.8 x 横 37.0ミリメートル

風防と裏蓋を含む最大の厚み 12.5ミリメートル


ラグ幅またはバンド幅(時計に取り付ける部分のバンド幅) 20ミリメートル



 1970年代のスイスで作られた男性用時計。ヴィンテージ・ウォッチとしては大きなサイズです。七十年代は個性的なデザインの男性用時計が多く作られた時代で、本品にも七十年代らしさが現れていますが、白とシルバーですっきりとまとめた意匠には清潔感があり、仕事用にも十分にお使いいただけます。





 時計内部の機械を「ムーヴメント」(英 movement)、ムーヴメントを保護する金属製の容器(時計本体の外側)を「ケース」(英 case)といいます。ケースはベゼル(英 bezel)と裏蓋(英 back)に分かれます。べゼルとは風防の枠となる部分のことで、ケースの上半分に相当します。

 本品のベゼルはステンレス・スティールを分厚く削り出したものです。そのため同時代の時計に比べると、本品はかなりの重量があります。幅広で視覚的インパクトのあるベゼルは、幅広のバンドと相俟って、本品が有する重厚感を強めています。





 時計において、時刻を表す刻み目や数字が配置された板状の部品を「文字盤」(もじばん)または「文字板」(もじいた)といいます。本品の文字盤は白、あるいは艶消しのライト・シルバー(明るい銀色)で、たいへん良好な保存状態です。文字盤の上半分には「オルフィナ」(ORFINA)のロゴと「オートマティック」(AUTOMATIC)の文字が黒で書かれています。ロゴの上には金色の炎を模(かたど)る小部品を植字し、オルフィナ社のマークを立体的に表示しています。文字盤の下半分には「ゴールデン・フレイム」(英 Golden Flame 金色の炎)、及び「スイス製」(英 SWISS MADE)の文字が書かれています。六時の位置には、曜日と日付を表示する「デイ・デイト」の窓が設けられています。

 オルフィナ(Montres Orfina S. A. / Orfina Uhren A. G.)は 1954年に創業したスイスの時計メーカーで、同国北西部ソルール州のグランジュ(Granges/Grenchen)に本拠があります。「ポルシェ・デザイン」のクロノグラフは、同社の製品です。オルフィナ社は左右二つの文字盤が並ぶユニークなデザインの腕時計でも知られています。





 文字盤の周囲十二か所にある「長針五分ごと、短針一時間ごと」の数字を、「インデックス」(英 index)といいます。インデックスの様式には年代ごとの流行があります。本品に見られるような立方体状あるいは直方体状のインデックスは、1970年代に作られた時計の特徴です。

 針は銀色で、現在の時計と同じく長い秒針を有する中三針(なかさんしん)式です。暗所における視認性を高めるために、時針と分針にはラジウム(88Ra)による夜光塗料が塗られています。ただし本品のラジウム塗料は、経年により、夜光性を失っています。

 古い時計の夜光塗料に含まれるラジウムは放射性物質であり、発癌性を有します。ラジウムを扱う文字盤工場では多数の作業員が癌になって死亡したために、現在では時計の夜光塗料にラジウムを使うことが禁じられています。ラジウムには四つの同位体がありますが、大部分はラジウム226です。ラジウム226の半減期は 1601年ですから、本品のラジウム塗料は夜光塗料としての機能を失っている一方で、放射能のみを当時のままに保持していることになります。しかしながらこの程度の放射性物質は気にしなくても大丈夫です。文字盤工場で多数の死者が出たのは、毎日筆先を舐めて作業し、ラジウムの経口摂取を続けたからです。時計の使用者がラジウム塗料のせいで癌になることは、決してありません。





 白と銀色でまとめた本品の文字盤は、1970年代の時計らしい個性を保ちつつ、清潔な印象です。十二時のマーカーのすぐ下に取り付けた小さな炎が金色に輝き、文字盤の表情を引き締めています。

 時計のムーヴメントには機種ごとに「耐磁性」「耐衝撃性」「耐摩耗性」等の特長があり、時計各社は文字盤に「アンティマグネティック」(英 ANTIMAGNETIC)、「インカブロック」(INCABLOC)、「〇〇石」(英 __ JEWELS)等の文字を書いて、ムーヴメントの性能をアピールするのが普通でした。しかるに本品はそれらすべての性能を有しつつ、文字盤には性能をアピールする言葉が一切書かれていません。とりわけ本品のムーヴメントは二十五石という最高の石数を有しながら、あたかもそれを隠すかのように文字盤にも裏蓋にも一切言及が無く、「使えばわかる」という硬派な職人気質を感じます。





 上の写真は本品の裏蓋側です。裏蓋はネジ式で、中央部には炎を様式化したマークと「オルフィナ ゴールデン・フレイム」のロゴを打ち出しています。裏蓋の周縁部にはモデルの型式名と思われる数字(515)に加え、「防水」(英 WATERPROOF)、「インカブロック」(INCABLOC)、「オートマティック」(英 AUTOMATIC)、「ステンレス・スティール」(英 STAINLESS STEEL)、「スイス製」(英 SWISS MADE)の文字が刻印されています。「防水」の表示が有効であるのは新品時のことで、アンティーク時計(ヴィンテージ時計)の防水性は本品に限らず失われています。オートマティックとインカブロックについては後述します。





 上の写真は裏蓋を開けたところで、ムーヴメントが見えています。手前に写っている大きな部品は回転錘(かいてんすい ローター)で、「オルフィナ」(ORFINA)、「トウェンティ・ファイヴ・ジュエルズ」(英 25 JEWELS)、「スイス製」(英 SWISS MADE)の文字が刻印されています。回転錘の座は美しい青焼きネジでムーヴメントの受けに固定されています。

 良質の機械式腕時計、懐中時計には、摩耗してはいけない部分にルビーを使います。ルビーはモース硬度「九」と非常に硬い鉱物(コランダム Al2O3)ですので、時計の部品として使用されるのです。本品のムーヴメントには二十五個のルビーが使用され、「トウェンティ・ファイヴ・ジュエルズ」と表示されています。機械式ムーヴメントにおいて、摩耗してはならない箇所のすべてにルビーを使用すると、十七個のルビーを使った「十七石」(じゅうななせき)の「ハイ・ジュエル・ムーヴメント」(英 high jewel movement)となります。しかるに本品はさらに八石を追加し、二十五石としています。二十五石は実用上の意味がある最高の石数です。





 本品のムーヴメント(時計内部の機械)は、スイスのETA社が制作した「キャリバー 2630」(ETA 2630)です。「ETA キャリバー 2630」は 21600振動、パワーリザーヴ四十二時間の高品質ムーヴメントです。「ETA キャリバー 2630」には十七石、二十一石、二十五石のモデルがあり、いずれもハイ・ジュエルの高級機ですが、本品はそのなかでも二十五石の最高級機を搭載しています。

 スイス製ムーヴメントのサイズは「リーニュ」(仏 ligne)という単位で表します。リーニュは日本語で「型」と訳しています。「ETA キャリバー 2630」はほぼ 11 1/2リーニュに相当します。11 1/2リーニュは地板の直径 25.94ミリメートルに相当し、ヴィンテージ腕時計に使われるムーヴメントの中では最も大きなサイズです。


 本品のムーヴメントは電池ではなくぜんまいで動いています。電池で動くクォーツ式腕時計が完全に普及したのは、1980年代のことです。本品が製作された 1970年代の腕時計は、ぜんまいで動いていました。

 本品のようにぜんまいで動く時計を「機械式時計」といいます。機械式時計は「手巻き時計」と「自動巻き時計」に分かれます。前者は手動でぜんまいを巻き上げる方式で、機械式時計の基本形です。宇宙飛行士の時計は手巻き式です。自動巻きは「オートマティック」(英 automatic)とも呼ばれ、時計を装着した人が日常生活の中で腕を動かす度(たび)に、その動きがムーヴメントの回転錘(かいてんすい、ローター)を動かし、ぜんまいが自動的に巻き上がる仕組みです。自動巻き(オートマティック)はぜんまいで動く機械式時計の仕組みであって、電池で動く「クォーツ式」のことではありません。簡単に言えば、手巻き式ムーヴメントに自動巻き機構を付加したのが自動巻きムーヴメントです。

 手巻き式ムーヴメントと自動巻きムーヴメントを比べると、自動巻き機構が付加されている分だけ、後者の方が分厚くなります。「ETA キャリバー 2630」は自動巻きムーヴメントですので、本品のケースは箱のような形をしており、風防と裏蓋を合わせると、最大 12.5ミリメートルの厚みがあります。





 ムーヴメントの十二時付近、上の写真でいえばムーヴメントの右端に、大きな環状の部品が写っています。これは携帯用時計(ウォッチ、すなわち懐中時計及び腕時計)において振子の役割をする部品で、天符(てんぷ)といいます。時計のムーヴメントを人間の体に譬えれば、天符は脳や心臓に相当します。機械式時計は天符が規則的に振動することで時間を測っています。それゆえ天符の振動の規則性は、機械式時計にとって最も重要な性能です。天符は大きければ大きいほど安定して動作します。「ETA キャリバー 2630」の天符は最も大きなサイズに設計されています。

 天符の中心軸を天真(てんしん)といいます。天真の両端をホゾといいます。腕時計の天真は、ホゾの直径が 0.08ミリメートルほどしかなく、非常にデリケートです。天真は鋼鉄でできています。鋼鉄は硬く、引っ掻きや摩耗に対しては強い素材ですが、衝撃に対しては脆弱(ぜいじゃく)で、時計を誤って落下させる等の衝撃を与えると簡単に折れてしまいます。天真のホゾが折れると天符の動きが止まり、時計が停止します。それゆえ天真のホゾ折れは、人間に譬えれば脳死や心停止のように重大な故障です。





 この故障を起きにくくするために、本品のムーヴメントは耐衝撃装置を備えています。上の写真の右側には天符が写っており、天符の中心にルビーが見えます。これは受け石という部品です。「ETA キャリバー 2630」の天符の受け石は、リュラ(希 λύρα)のような形をした金色の板バネで押さえて保持されています。この板バネは「インカブロック」(Incabloc)と呼ばれる耐衝撃装置で、ムーヴメントに強い慣性が働いたとき、天符の穴石と受け石にわずかな動きを許すことにより、天真のホゾに加わる衝撃を低減します。インカブロックはごく小さな部品ですが、たいへん優れた発明であり、天真のホゾ折れ事故はこれによって大幅に減少しました。

 なお耐衝撃装置が付いていても、衝撃が加わる方向によっては、耐衝撃機能がほとんど働きません。したがって耐衝撃装置の有無にかかわらず、機械式時計は乱暴に扱うべきではありません。そういう意味では、耐衝撃装置が付いたからといって使い勝手が良くなるわけでもないのですが、万一の事故を考えると、耐衝撃装置は付いているほうが一層安心できます。





 本品のムーヴメントは天符の振り角も大きく、良好な状態です。オシドリの嵌まる竜真の窪み、キチ車と鼓車の噛み合わせ部分、裏押さえの腕部分等、消耗しやすい部分にも異常はありません。アンティーク時計(ヴィンテージ時計)はどこの店でもほぼ現状売りで、修理にはなかなか対応してもらえませんが、当店ではアンティーク時計の修理に対応しています。「ETA キャリバー 2630」(ETA 2630)のパーツも在庫しております。





 本品はヴィンテージ時計としては最も大きなサイズですが、昨今流行の男性用時計ほど大きくはなく、シャツや上着の袖に引っかかりませんので、仕事用にも十分に使えます。大きめの時計がお好きな女性にもお使いいただけます。

 ヴィンテージ時計における男性用バンドの標準的な幅は、十六ミリメートルです。しかしながら本品に適合するバンド幅は二十ミリメートルで、着用すると堂々たる印象を与えます。時計会社はバンドまで作っていませんので、ヴィンテージ時計のバンドをお好みのものに取り替えても、ヴィンテージ品としての価値はまったく減りません。バンドはお好きな色、質感、長さのバンドに替えることができます。時計お買上時のバンド交換は、当店の在庫品であれば無料で承ります。

 当店はアンティーク時計(ヴィンテージ時計)の修理に対応しております。アンティーク時計の修理等、当店が取り扱う時計につきましては、こちらをご覧ください。当店の時計は現金一括払い、ご来店時のクレジットカード払いのほか、現金の分割払いでもご購入いただけます。当店ではお客様のご希望に出来る限り柔軟に対応しております。ご遠慮なくご相談くださいませ。





126,000円

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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