アメリカ製ムーヴメントの高級機 《ブローバ 二十一石》 大切に使い続けられたレクタンギュラー・ウォッチ 1945年



 1945年に制作されたブローバ製レクタンギュラー・ウォッチ(長方形の時計)。本品はもともと男性用として作られましたが、1940年代の時計は現代の時計に比べると小さく作られていますので、女性にも快適にお召しいただけます。バンドは茶や赤などお好きな色に交換可能です。七十数年前のアンティーク品にもかかわらず、本品の保存状態はきわめて良好で、きちんと動作します。





  時計内部の機械をムーヴメント(英 movement)といいます。現代の時計の機械はクォーツ式ムーヴメントといって、電池で動作します。他方、1970年代以前の時計は機械式ムーヴメントといって、ぜんまいで動いています。本品はぜんまいで動く機械式時計で、電池は必要ありません。

 ムーヴメントを格納する金属製ぼ筐体(きようたい 容器)、すなわち時計本体の外側を、ケース(英 case)といいます。本品のケースは長方形ですが、長辺・短辺の長さの差が小さく、正方形に近い形をしています。突出部分を除くケースのサイズは、35.5 x 22.0 ミリメートルです。ケース裏蓋は摩耗に強いステンレス・スティール製です。





 アンティーク時計を制作年代ごとに分類・比較すると、ケースの形やサイズ、風防の形、文字盤の意匠に、時代に従って明確な違いが認められます。

 ケースの形とサイズに関して言うと、当時の男性の間では長方形の時計に人気が集中しました。この時代の男性用時計に、円形ケースの機種はほとんどありません。当時の時計は男性用、女性用ともに、現代の時計よりもずっと小さなサイズです。本品のサイズは大まかに言って五百円硬貨ほどです。男性が使う場合、時計が大きいと長袖シャツの袖が引っ掛かりますが、本品はスーツ着用時にもドレッシーに使いこなせます。本品は現代の女性用時計に近いサイズですので、女性にも快適にお使いいただけます。





 当時の男性が着用したレクタンギュラー・ウォッチには、多くの場合、高く盛り上がったカマボコ型風防が採用されました。レクタンギュラー・ウォッチに平坦な風防を使っても、技術的な不都合はありません。高く盛り上がったカマボコ型風防は、当時の流行です。

 現代の時計にもレクタンギュラー・ウォッチはありますが、風防はすべて平坦です。本品のようなカマボコ型風防は、現代の時計には見られません。


 白あるいはライト・シルバーの文字盤は数十年前のものですが、特筆すべき変色は無く、たいへん綺麗な状態です。真正のアンティーク時計の文字盤が持つ雰囲気は、レプリカには決して真似ができません。

 文字盤の周囲十二か所にある長針五分ごと、短針一時間ごとの数字を、インデックス(英 index)といいます。本品のインデックスは打刻によると思われる浮き彫り状の立体インデックスで、金色のアラビア数字が毎正時を示し、光を美しく反射します。インデックスのデザインには時代ごとにはっきりとした流行があります。毎正時がアラビア数字で表示されるのは、1930年代と 1940年代の腕時計の特徴です。文字盤中央と十二時の中間には、黒い文字で「ブローバ製ムーヴメント」(BULOVA MOVEMENT)と書かれています。





 現代の時計は中三針(なかさんしん)式またはセンター・セカンド式といって、秒針が短針・長針と同様に、時計の中央に取り付けられています。これに対して 1950年代までの時計はごく少数の例外を除き、小秒針式またはスモール・セカンド式といって、六時の位置に秒針が取り付けられています。本品も六時の位置に一段低くなった小文字盤があって、長さ三ミリメートルの可愛らしい秒針が回っています。

 長針と短針は金色で、アンティーク時計にふさわしいモダン型です。いかにもヴィンテージ時計らしいクラシカルな針は、文字盤全体の上品なデザインに良く似合っています。


 現代の時計に使われているクォーツ式ムーヴメント(電池式ムーヴメント)は非常に安価で、日本製であっても 80円から 100円程度のムーヴメントがほとんどです。しかるに 1940年代当時の時計は電池式(クォーツ式)ではなく、ぜんまいで動く機械式でした。機械式ムーヴメントにもロスコフ脱進機式と呼ばれる安価な時計がありますが、当店で扱うクラブトゥース脱進機式の時計は、どの機種も高価でした。特に本品のムーヴメントは二十一石で、最高級機です。当時の二十一石の時計は、初任給三か月分以上の価格でした。





 ブローバ製時計の文字盤には、「ブローバ製ムーヴメント」(BULOVA MOVEMENT)ではなく、「ブローバ」(BULOVA)と書かれているのが普通です。本品の文字盤に「ブローバ製ムーヴメント」と書かれているのは、ケースと文字盤を途中で交換したからです。

 本品は非常に高価な時計でした。当時の機械式時計が高価であった理由は、ムーヴメントが高価であったからです。それゆえ元々のケースまたは文字盤が破損しても、ムーヴメントが良い状態であれば、ケースと文字盤を新しいものに替えて大切に使い続けるのは、当時の人々にとって普通のことでした。





 時計の文字盤は、干支脚(えとあし)という突起でムーヴメントに固定されています。文字盤の裏側には二箇所に干支脚が突出していますが、その位置は適合するムーヴメントによって厳密に決まっています。またケースのステンレス製裏蓋には、ムーヴメントをぴったりと嵌め込めるように、ムーヴメントの形状とサイズにぴったりの凹部が作られています。

 本品の文字盤とケースは本品のムーヴメント、キャリバー 8AE 専用に作られています。ブローバ製ムーヴメントに適合する交換用ケースと文字盤は、おそらくブローバにケース、文字盤を供給していたメーカーの製品でしょう。本品に使われているような交換用ケースと文字盤が流通した事実を見れば、非常に高価であった当時の時計が、ケースの耐用年数を超えても大切に使われ続けたことがわかります。





 本品はトノー型の手巻きムーヴメント、「ブローバ キャリバー 8AE」を搭載しています。ブローバ社はスイス製エボーシュに調速脱進機を取り付けて、ムーヴメントを完成させるのが普通でした。しかしながら本品に搭載された「キャリバー 8AE」は、ブローバが完全に自社で開発した機械です。上の写真には「ブローバ時計会社」(BULOVA WATCH COMPANY)、「8AE 二十一石」(8AE 21 JEWELS)、「アメリカ合衆国」(U.S.A.)、1945年を表す三角形のデイト・コードが刻まれています。





 良質の機械式時には、摩耗してはいけない部分にルビーを使います。ルビーはモース硬度「九」と非常に硬い鉱物(コランダム Al2O3)ですので、時計の部品として使用されるのです。機械式時計のムーヴメントには、摩耗してはならない箇所が十五か所あり、そのすべてにルビーを入れると十七石(じゅうななせき)のムーヴメントになります。十七石以上のムーヴメントを「ハイ・ジュエル・ムーヴメント」(英 high jewel movement)と呼びます。





 「ブローバ キャリバー 8AE」には十七石の機種と二十一石の機種があります。十七石のムーヴメントは十分に高級ですが、二十一石の本品はさらに四石を追加し、摩耗対策に万全を期しています。





 ムーヴメントの中央に見えるのは、二番カナ・二番車の軸の軸受けです。この部分は穴石が省略されることも多いですが、本品では穴石(ドーナツ状のルビー)が嵌め込まれています。上の写真では二番カナ・二番車の軸受けの左上に、三個のルビーが並んでいます。これらは左から右に、ガンギ車、四番車、三番車の受け石です。四番車、三番車の受け石はハイ・ジュエル・ムーヴメントにおいても省略されるのが普通ですが、本品ではこれらの箇所にも受け石が使われて、潤滑油が失われるのを防いでいます。

 上の写真では分かりにくいですが、本品のひげぜんまいはブレゲひげ(スピラル・ブレゲ、巻き上げひげ)という高級な種類です。ひげぜんまいがゆがむと修整は難しく、特にブレゲひげはまず修整できませんが、本品のブレゲひげは如何なる問題も無い良好な状態です。





 本品はもともと男性用時計として作られましたが、1945年の時計は現代の時計に比べて小さめのサイズであり、たいへん上品なデザインであるゆえに、女性にもお使いいただけます。上の写真は女性モデルが本品を着用しています。

 バンドはお好きな色、素材のバンドに換えることができます。時計会社はバンドまで作っていませんので、アンティーク時計のバンドをお好みのものに取り換えても、アンティーク品としての価値はまったく減りません。時計お買上時のバンド交換は、当店の在庫品であれば無料で承ります。

 当店はアンティーク時計の修理に対応しております。アンティーク時計の修理等、当店が取り扱う時計につきましては、こちらをご覧ください。





 当店の時計は現金一括払い、ご来店時のクレジットカード払いのほか、現金の分割払い(三回払い、六回払い、十二回払いなど。利息手数料なし)でもご購入いただけます。当店ではお客様のご希望に出来る限り柔軟に対応しております。ご遠慮なくご相談くださいませ。





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