クアドリュプル・サインド アール・デコの高級ドレス・ウォッチ

ブロバ 《プレジデント》 21石 1952年 箱付


ムーヴメント: Bulova cal. 10BM


ベゼルにアール・デコ様式による貝殻状装飾

10Kイエロー・ゴールドのロールド・ゴールド・プレートによるベゼル、及びステンレス・スティールの裏蓋

サテン仕上げの白色あるいはライト・シルバー色文字盤

金色の植字によるアラビア数字インデックス

金色のドーフィン型針

ミネラルガラス製ドーム形クリスタル



ラグ(バンドを取り付けるための突出部分)と竜頭(りゅうず)を含むサイズ: 35.8 x 28.0 mm

ラグと竜頭を除くサイズ: 27.0 x 22.0 mm



 1924年、ワシントン・セナターズのワールド・シリーズ優勝を讃えて、当時のアメリカ合衆国大統領ジョン・カルヴァン・クーリッジ (John Calvin Coolidge, Jr, 1871 - 1923 - 1929 - 1933) は、セナターズの監督バッキー・ハリス (Stanley Raymond "Bucky" Harris, 1896 - 1977) にブロバ社の時計を贈りました。ブロバ社はこれを記念して、高級ドレス・ウォッチ「プレジデント」(PRESIDENT) を発売しました。

 本品はいまから60年あまり前、1952年に制作された「プレジデント」です。四角いケースに丸いムーヴメントを収納しているため、ベゼルの左右に張り出しがあり、この部分にアール・デコ様式による貝殻状の装飾を施して、基本は正統派のルックスに拠りながらも、いかにも1950年代らしい華やぎのあるデザインにまとめています。





 機械式腕時計のムーヴメント(時計内部の機械)において、「脱進機」(エスケープメント escapement)という部分の精密さが、時間の精度に大きく影響します。腕時計でよく見かける脱進機には、高精度の「クラブトゥース脱進機」と、低精度の「ロスコフ脱進機」(ピン・レバー脱進機)があります。

 当店で扱う時計に入っているのは、すべて「クラブトゥース脱進機」ですが、同じクラブトゥース脱進機であっても、石数(いしかず ムーヴメントに使われているルビーの数)によって、精度と寿命に差が出てきます。

 ルビーはモース硬度「9」と非常に硬い鉱物(コランダム Al2O3)です。したがって部品としてルビーを使うと、摩耗を防ぐことができます。





 機械式腕時計のムーヴメントにおいて、耐摩耗性が最も要求されるのは、「天符」(てんぷ)、及び「アンクル(ancre 脱進機の一部)の爪」です。「天符」の必要箇所(穴石と受け石各2個、及び振り石)と「アンクルの爪」にルビーを使うと、「7石」のムーヴメントになります。

 7石の次にグレードが高いのは、「15石」のムーヴメントです。15石のムーヴメントでは、天符とアンクルの爪に加え、三番車、四番車、ガンギ車、アンクルを支えるのに、各2個ずつの穴石が使われます。ヨーロッパの良質な時計には、15石のムーヴメントがよく使われました。

 17石のムーヴメントでは、二番車にも2個の穴石を使います。12時間で一回転する二番車は、回転速度が遅いゆえに他の車に比べて摩耗する可能性が少なく、それゆえに15石のムーヴメントではこの部分のルビーを省略しています。しかしながらもしも二番車が嵌まる穴が摩耗して真円でなくなった場合、二番車が傾くことによって針の先が文字盤に接触し、時計が止まってしまいます。したがってできれば二番車にも穴石が欲しいところです。このような理由で、17石ムーヴメントは二番車にも2個の穴石を使っています。17石のムーヴメントは「ハイ・ジュエル」(high-jewel) と呼ばれ、実用上ほぼ完ぺきな性能を誇ります。アメリカの腕時計はヨーロッパの腕時計よりも高級な場合が多く、17石ムーヴメントが多用されます。





 しかるに、ほぼ完ぺきな17石ムーヴメントをさらに上回るのが21石ムーヴメントです。21石ムーヴメントの三番車、四番車、ガンギ車には、穴石のみならず受け石も装備されています。これは潤滑油の損失を防ぐ万全の対策で、機械式時計において実用的意味のあるすべての箇所に、ルビーが入ったことになります。

 したがって21石ムーヴメントを搭載した本品「ブロバ プレジデント」は、機械式時計の中でも最高級の作りであることがわかります。本品のムーヴメントは、受け(ケースの裏蓋を外すと見える部分。上の写真に写っている部分)が磨き上げられ、艶やかな輝きを放っています。


 本品が搭載するムーヴメント「キャリバー 10BM」には17石のものと21石のものがありますが、いずれも「キャリバー 10AK」を改良したものです。「キャリバー 10BM」の原型となった「キャリバー 10AK」は、合衆国陸軍に供給されていました。軍による採用は、「キャリバー 10AK」、及びその改良型である「キャリバー 10BH」「キャリバー 10BM」「キャリバー 10BMC」「キャリバー 10BMCD」が有する信頼性の証しです。





 さらにデザインの点でも、本品は高級機に相応しく、たいへんドレッシーな正統の美を誇ります。

 「キャリバー 10BM」は円形のムーヴメントですから、角型ケースに入れるには工夫が必要です。一般に、丸型ムーヴメントを角型ケースに入れるには二つの方法があります。ひとつは小さなムーヴメントを採用して、ケース内に完全に収納する方法。この方法を採る場合、時計のデザインは完全な角型が実現しますが、小さなムーヴメントは制作が困難であり、動作の安定性においても大型ムーヴメントに引けを取りがちであるゆえに、精度に多少の不安が残ります。

 もうひとつは、角型ケースからはみ出る大きさの丸型ムーヴメントを採用し、ケースを左右に張り出して収納する方法。この方法では精度の不安も解消され、デザイン上もひと工夫のある工芸品のような時計ができます。本品は三時側と九時側にイタヤガイのような装飾を付加し、ボッティチェリの「ヴィーナス誕生」や、フィリッポ・リッピ、ハンス・ホルバインらの「聖母子」を連想させる美しいドレス・ウォッチに仕上がっています。


(下・参考画像) Sandro Botticelli, La Nascita di Venere, c. 1483 - 85, tempera su tela, 172 x 53 cm, Galleria degli Uffizi, Firenze




(下・参考画像) Hans Holbein der Jüngere, "Madonna des Bürgermeisters Jacob Meyer zum Hasen", 1526, 146,5 x 102,0 cm, Nadelholz, die Sammlung Würth




 ムーヴメントの石数を縦軸に、デザインの傾向を横軸にして本品の位置をイメージすると、下の図のようになります。縦軸の百分率 (%) は、それぞれの石数のムーヴメントに使われるルビーが、機械の性能を保つ上での必要性を何パーセント満たしているかを示します。





 昨今流行しているように大きく厚い時計を着けると、シャツの袖が時計に引っ掛かって、正しい位置まで下りません。シャツの袖がスーツの袖口から覗かないのは、男性のドレス・コード違反です。スーツを美しく知的に着こなすには、このブロバ「プレジデント」くらいの大きさが最適でしょう。





 本品は男性用として作られた時計ですが、20世紀中葉の時計は現在に比べて小さめのサイズであり、たいへん上品であるゆえに、女性にもお使いいただけます。

 商品写真は新品の黒い革バンドを取り付けて撮影しましたが、お好きな色、質感の革バンド、金属製バンドに簡単に換えることができます。バンドの色を茶系や赤、ブルー等に換えるのもおしゃれです。時計会社はバンドまで作っていませんので、アンティーク時計のバンドをお好みのものに取り換えても、アンティーク品としての価値はまったく減りません。

 時計お買上時のバンド交換は、当店の在庫品であれば無料で承ります。遠慮なくお申し付けくださいませ。





147,000円 販売終了 SOLD

電話 (078-855-2502) またはメール(procyon_cum_felibus@yahoo.co.jp)にてご注文くださいませ。




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